北アルプス 朝日小屋

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ラジオミュー生出演より…私にとっての「朝日岳の魅力」

2001-03-23

 生放送を終えて。ナビゲーターの本村さんとアナウンサーの下澤。

 昨晩はラジオミューの番組「風のたより〜山川野遊びのススメ」に生出演しました。「そこらへんの山への憧れ」‥‥ふるさとの憧れの山の一つとして朝日岳がテーマでした。

 アナウンサーの下澤弥生は、実は私の末妹で、放送開始直前まではなんだかとても気恥ずかしかったのですが、始まってみると結構楽しくおしゃべりさせて頂きました。ナビゲーターの本村さんは、「わんぱく探検隊」で子ども達を朝日岳に連れて来てくださる方です。

 管理人を決意するまでの思いや、山小屋での生活の話、そしてHPの「管理人の日記」も褒めて頂いたりして…。30分があっという間でした。

 最後に「ありきたりの質問だけど」と言いながら、「ゆかりさんにとっての朝日岳の魅力は?」と聞かれました。最近よく聞かれるんですよ。でもとても一言では答えられないです。

 遠くからいらっしゃる登山者の皆さんとは、少し感じ方が違うかもしれませんね。

 小さい時から朝日岳に登っている私達姉妹にとって、朝日岳はその山容そのものにどっしりとそして穏やかに構えてくれて、いつも目の前にありました。そしていろいろな人達と出会える場所として、私にとっては「当たり前の山」として存在し続けました。

 北又から登って5合目あたりのブナの林が近づくと、何とも言えない「深い山の匂い」がします。いつも「また来たんだ…、帰ってきたんだ…」という思いが湧いてきます。

 質問の答えにはなっていないかもしれませんが…、私にとって朝日岳はそんな山です。

広告に偽りあり…

2001-03-26

 つくし…去年アルバイトに来てくれた「陽子ちゃん」の家の前で。

 いつの間にか春真っ盛り。花たちも競って咲き始めました。でも3月に入って結構降ったせいもあって、やはり奥の山はまだまだ深い雪です。

 先日大蓮華山保勝会(朝日小屋の所有団体)の役員会でも、残雪の具合と山開き参加者の安全面を考慮の上で、山開きの日程を決定するという話が出ました。

 それでも春本番、書店に行くと熱心に山岳雑誌に見入る人が見受けられ、朝日小屋でも某山岳雑誌の4月発売号に求人広告を載せるべく、今朝メールで原稿を送ったところです。

 ところで…、「広告」というと私には20数年前の記憶が蘇って来ます。思わず赤面しそうなあの思い出が…。

 確か大学生の頃、某「山と…」という雑誌に広告を載せる事になり、父からその役目を仰せつかった私は、「何か面白くて、印象に残るようなキャッチコピーを考えよう」と張り切りました。在り来たりではなく、今年の夏はぜひ朝日小屋へ行ってみたくなる様なそんな文句がないかなあ…と。

 そして雑誌にそのキャッチコピーが載りました。あっと驚くような内容で…。

 『娘四人は美人ぞろい…』 

 当時確かに管理人の下澤三郎には四人の娘がいた事は事実ですが、長女は大学生、次女は高校生、三女・四女はなんとまだ小学生…。夏山のある日、受付に顔を出した登山者の方に、「美人の娘さん達は、どこに?」と言われて小さくなっていたのは他でもない私で、「ゴメンナサイ!」と謝ったのはもちろんです。

 登山者の安全のため(!?)、山小屋は絶対にウソの広告を載せてはいけませんネ。

『山を想えば人恋し、人を想えば山恋し』

2001-03-30

 春の雪‥‥赤く蕾を膨らませた庭の「ボケ」、白い雪とのコントラストが鮮やか。

 4月を目の前にしての春の雪。待ちこがれた暖かさが少し遠ざかってしまいましたが、すぐには届かないから手に入れた時の喜びが大きいのかもしれませんね。

 先日の日記の中で、「私にとっての朝日岳の魅力」について書きましたが、何か言い足りないような気がしてなりません。

 他の山を訪れる機会の少なかった私にとって、やはり「山といえば朝日岳」なのですが、実は昨秋日帰りで剣岳の早月尾根を早月小屋まで往復してきました。

 馬場島からの登り始めは、北又からの恵振の急坂と同じような雰囲気がありましたが、段々と標高を稼いでゴツゴツした岩肌を行くうちに、「何かが違う」という気持ちが起こってきました。朝日岳へのいつもの山道で私が感じるのとは全く違う想い。

 「私の山じゃない…」

 馬場島の登山口に建つ大きな石碑には『試練と憧れ』の文字が刻んであります。岩と雪の殿堂・剣岳はそういう山なのだと思います。では、朝日岳はどんな山なのでしょうか。もしそれを文字にするとしたらきっとこんな言葉が似合うのではないでしょうか。

 『山を想えば人恋し、人を想えば山恋し』

 …大らかな山容と同じく、黙って私達を受け入れてくれる、包み込んでくれる。山の持つ大きさや深さをまた別の意味で感じさせてくれながら、そこで出逢った人達の事もまた忘れさせない。もしかして朝日岳の持つ魅力は、そんなところにあるのかも…。私にとっての朝日岳は、いつもそんな山です。