北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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頼もしい若者たちに助けられ

2005-10-01

帰り際、「カッコ良くね!」と言ったら、こんな決めポーズ!!   05.10.1の画像

帰り際、「カッコ良くね!」と言ったら、こんな決めポーズ!!   05.10.1

 今朝早く起きたら、厨房に、昨日の夜にはなかったはずの“ミョウガ”と“キュウリ”。
 
 「えっ?、慎ちゃんたち来たの!?」…と、私。
 「あ〜ぁ、バレちゃったか」…と、テツ。

 小屋閉めまであと少しを残して、いろいろな「下げ荷」を『逆ボッカ』してくれるというので、10月1日の土曜日に日帰りで、北又から若い子たちが上がって来てくれることになっていました。

 ところが早朝4時過ぎ、もう小屋に着いているらしい形跡が…。
 そういえば、ナンダカ昨日の電話の様子がちょっと変だったもの(何かを隠している様子がありあり・苦笑)。

 小さい頃からずっと朝日小屋に通い、高校時代にはアルバイトをしていた慎ちゃん。
 その友人で、今シーズン後半から3回も遊びに(手伝ってもらいました)来てくれた、T大山岳部OBでパワー溢れる、心(しん)クン。
 この二人が、北又小屋を夜の8時過ぎに出発して、上り3時間半で夜中の12時前に朝日小屋に着いていたのです。玄関脇に寝ている私も気付かなかったのですが、そっと入って来て、3階のアルバイト部屋で寝ていたそうです。
 
 いくら空身に近いとはいえ、さすがの若者たち。

 そして今日は、お昼ご飯を食べた後、それぞれ25キロ近い荷物を『逆ボッカ』して下げてくれました。

 
 鋭意努力・調整してはいますが(苦笑)、小屋を閉めるその日に全ての食糧がドンピシャっと何もなくなるはずもありません。
 
 それでも、今年は昨シーズンの“苦い苦い教訓”を元に、かなり上手く進んでいるとは思っていますが、最後の日までの食糧計画を立てた上で、下げれるものは下げることにして、彼らが力を貸してくれました。

 また、宿泊申込み書やテントの名簿、受付の台帳等々の「書類」、それから一旦上がって来た納品書や領収書など、手紙類など…。とにかく『紙類』は、結構嵩張るし、それなりに重いのです。
 そんなものも、若者たちに早々と下ろしてもらいました。

 
 アルバイトのみんなはもちろんのこと、たくさんの皆さんに支えられている朝日小屋ですが、こんなパワーいっぱいの頼もしい若者たちが、朝日小屋を、そして私を助けてくれています。

今日から10月

2005-10-01

一株だけ、咲き残っていたタカネナデシコ   雪倉岳にて   05.9.26の画像

一株だけ、咲き残っていたタカネナデシコ   雪倉岳にて   05.9.26

 今日から、10月。
 小屋閉めまで、いよいよ「秒読み」となってきました。

 今日は、一ケタではありますがご予約も入っていますが、明日2日から7日までの平日は、ナント「ご予約ゼロ!」、ちょっと淋しい朝日小屋です。

 お天気も今ひとつで、ご予約も無いとなれば、やっぱり『片付け』しかありません(苦笑)。
 この数日は、どうやらシーツの洗濯と厨房の片付けに、みんなで専念することになりそうです。

 残念ながら10月最初の週末は、前線の影響で午前中から雨というスタートになってしまいました。
 この数日はあまり秋晴れは望めそうにもありませんが、3連休には大いに好天を期待したいものですネ。

『沈殿』

2005-10-02

朝日小屋、昨晩のメニューの画像

朝日小屋、昨晩のメニュー

 9月下旬のある日。
 どうやら連泊を決め込んでいた、テント場の30代くらいのお客様に、声を掛けました。

 私 「連泊ですか?」
 男性「えぇ、このテント場から見える景色がまるで“箱庭”のようで気に入ったので、もう一泊させてもらいます」
 私 「“沈殿”ですか、イイですねぇ」
 男性「“沈殿”? 何ですか、それ?」
 私 「えっ、“沈殿”って、言わないですか??」

 『沈殿』…もちろん、国語辞典に載っているそれとは全然意味が違う、「山用語」だと、何十年間も勝手に私は解釈していたのですが。

 山小屋やテント場で、天候の影響やその他の都合で(前述の男性の「気に入ったから」というのもその中に入るのかもしれないし、そうでないのかもしれないが)、次の予定地へ移動せず“停滞”を決め込む時によく使った言葉のように思っていました。

 解釈が間違っていたら、ゴメンなさいね。
 (思い込みの激しい性格なので・苦笑)

 
 そういえば、この数年感じていたことがあります。
 山小屋で『沈殿』する登山者の方の、少なくなったこと。

 どんなにお天気が悪くても、決して目的地を変更せずに“強行突破”を図る中高年の方のグループが、結構多いです。
 さもなければ、日程の都合もあるのでしょう、予定を変更して下山される方たち。もちろん無難で、賢明な選択に違いありません。

 でも、私が未だ学生だった頃の「山の世界」と比べると、『お天気が悪かったら、沈殿する』というパターンが、かなり少なくなっているのではないかと実感しているのは、私だけでしょうか。

 10時間も掛かるであろう長時間の行程を、知ってか知らずか、それも連続して何日も歩こう(縦走)とする60代後半のグループ。
 普通なら1日半や2日は掛かるコースタイムのところを、「大丈夫です。いつも12時間くらいは平気で歩きますから」とあっさり言い切る、これも中高年のパーティー。

 夏の間中、ご予約やお問い合わせのお電話で、あるいは受付で、毎日のようにそんな会話を繰り返していると、あっさり『沈殿』を決め込んで小屋の布団にゆったりと潜り込み読書を決め込んでいた、そんな何十年も前の登山者の姿が、とても懐かしくモノトーンで浮かんで来ます。

 もし『沈殿』されたら、今日はどんなメニューにしようかなぁ…、そんな風にあれこれ頭を巡らすはずの、ある日の山小屋管理人です。

 ちなみに上の写真は、昨晩のメニューです。もちろん、秋バージョン。
 最近お出ししていた、「お刺身の昆布〆め」や「車麩の卵とじ」などは、いよいよ昆布〆めが品切れとなり、卵がどうもギリギリ品切れとなりそうなので中止。
 それに代わってこの数日登場しているのは、サバの味噌煮(もちろん、手作り)や長いものおろし・サラダ風などです。
 それから、牛肉や野菜たっぷりの炒め物。これはなかなかの絶品です!
 どれも、料理の達人・テツが中心となって作ってくれています。

 もしかして『沈殿』を一度味わったら、また山や山小屋を見る目が少し違ってくるかも。

コロコロ変わる、“猫の目”お天気

2005-10-03

赤く実を付けた、コケモモ   雪倉岳   05.9.27 の画像

赤く実を付けた、コケモモ   雪倉岳   05.9.27 

 一昨日の天気予報では、今日は「曇りから雨」の予定でした。でも、朝起きてみると…。

 まるで「拾いモノ」と言ったような(気象庁には申し訳ないが)澄み切った青空が、夕方まで続きました。

 毎朝晩に、某国営(!)放送の天気予報をチェックしているのですが、朝見たのと夜のそれとでは全然違っていたり。

 いずれにしても、これから先の晩秋にかけての山歩きには、今まで以上に念入りな計画と準備、また夏の頃とは違った装備類などが必要不可欠となってきます。

 今日でも、青空が広がった日中にはかなりの気温がありましたが、昼間でもやはり秋の山に吹く風は防寒着が必要なほど冷たく、また夕暮れ時になると気温は一気に10℃以下〜にグンと下がります。

 今朝の気温は、2℃。
 やはり気温が下がると、紅葉・黄葉もグンと色鮮やかになりますね。
 草紅葉も、チングルマの紅色が一段と深くなってきました。
 朝日岳も、赤や黄色や朱色がかなり目立って濃くなってきました。

 8日からの、3連休のお天気が気になります。

お客様との、嬉しいやり取り

2005-10-03

雲の中にぽっかり浮かんだ、雪倉岳   白馬岳山頂附近より   05.9.26の画像

雲の中にぽっかり浮かんだ、雪倉岳   白馬岳山頂附近より   05.9.26

 一昨日の雨の中を、蓮華温泉からお出でになったお客様。遠く北海道からの、女性の二人連れでした。

 ご予約のお電話の際にも、「蓮華温泉からの道は、長いし遠いので、なるべく早目に出発されるようにしてくださいね」と、口うるさいかナ等と思いながらも、ひと言付け加えさせて頂きました。

 8時間くらい掛かるかなと思っていましたが、足の速いお二人で、蓮華温泉から6時間ほどで登って来られました。

 翌日(昨日)、あの土砂降りの雨と強風の中、かなり迷っておられた様子でしたが、「ダメだったら、戻って来ますから」とおっしゃって、朝早くに予定通り白馬大池方面に向けて出発されました。

 雪倉岳の登りが、富山県側からと新潟県側の両方から吹き付ける風で本当にキツイこと、風に煽られての転倒に注意すること等などの注意点を、出発前の玄関先でお話させて頂きました。

 夕方5時過ぎ、無事に着いたとのお電話を掛けて来てくださいました。さすがに足の速い方たちでしたので、白馬大池を通り越して栂池ロープーウエイで下まで下りましたとのこと。

 「いろいろ注意点を聞かせて頂いて、本当に有難うございました。仰ったとおり、雪倉岳の登りと下りの雨風が本当にキツカッたのですが、お陰様で、何とか無事に栂池まで下りることが出来ました。有難うございました。」

 そんなお電話をわざわざ掛けて来てくださったのです。

 お客様をお迎えし、そしてお送りする…。
 無事に目的地に着いたとか、良かったです、また行きたいです…そんなお言葉を頂いた時が、本当に嬉しい瞬間です。

秋の月

2005-10-04

枯れているようでも、実はまだ輝いて   雪倉岳   05.9.27の画像

枯れているようでも、実はまだ輝いて   雪倉岳   05.9.27

 
 9月のカレンダーに、見つけた言葉

     『月見れば、だいじな人を思い出す』

長い長い『山の冬』を前に

2005-10-04

もうすぐ始まる、長い山の冬を目前に  雪倉岳  05.9.27の画像

もうすぐ始まる、長い山の冬を目前に  雪倉岳  05.9.27

 雪倉岳の雷鳥たちも、冬を前に腹ごしらえでしょうか。盛んに、赤く色付いたオヤマソバを啄ばんでいました。

 
 2年間、シーズン初めから最後までの期間にアルバイトしてくれた山ちゃんが、小屋閉めを目前にして手伝いに上がって来てくれました。
 
 今シーズンは、6月中旬の小屋開けにも応援に来てくれて、その後も私のわがままを聞いてくれて7月「海の日」の連休まで手伝ってくれました。
 一年目で小屋の全てを任されたテツにとっては、何もかも初めての小屋閉めなので、山ちゃんの応援は本当に大助かりです。

 シーツの洗濯も、昨日で全て完了です。
 連休にお出でになるお客様には少し不都合をお掛けしますが、何百枚のシーツと枕カバーの洗濯は、やはり大変なので早めに済ませました。
 
 小屋閉めの要領が全く分からず、下山の前日まで、乾いていないシーツがあちらこちらにぶら下がっていた管理人一年目のことを考えると、少しは進歩したかなと感慨深いものがありますネ(苦笑・微笑)。

 今日はお天気が悪いので、またまた小屋の中の片付けに専念です。
 
 そろそろ少し余裕も出てきたかなと思うのですが、そこは「私」、最後のドタバタがないように頑張らなくっちゃ!!

 
 3階のアルバイト部屋で、パソコンを打つその指先がとっても冷たい、そんな山の上です。

秋がいよいよ深まって

2005-10-05

朝陽が上がる直前、今朝の朝日岳   の画像

朝陽が上がる直前、今朝の朝日岳   

 今朝起きたら、予想に反して天候はガスの合間から少し空が見えそうなお天気。朝5時の気温は、6℃。 でも朝陽が昇った直後には、もう少し冷え込んで、気温は4.5℃。

 昨日は一日中雨降りだったのですが、今朝は思いがけず雨も上がって、丸一日ぶりに山が見えました。

 上の写真を見て頂くと少しお分かりかと思いますが、紅葉もずい分進んできました。

 氷も張らないし初雪も未だで、実は内心少し物足りない気がしないでもないのですが、逆に、雪に当たってしまうと草紅葉などは一気に色が落ちてしまうこともあるので、このままでいけば、連休には色鮮やかな紅葉・黄葉が楽しめそうです。

 朝日岳周辺には、ダケカンバもナナカマドもたくさんあります。恵振山は、ブナの林が残っています。
 加えて、草紅葉を演出してくれるチングルマその他の草木も豊富です。

 連休のお天気も、毎日のように予報が変わるので予定を決めかねている皆さんもいらっしゃるのかと思いますが、どうやらそれ程荒れずに済むのではないかと思いますね。

 小屋閉め直前、賑やかな朝日小屋になりそうです。