小屋番日記 2001年10月

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2001/10/01  「ゆっくりゆっくり」・・・

 朝日平から眺める山々と月   2001.9.28

 今宵10月1日は「十五夜」だとか。しかし朝から生憎の雨降りで、どうやら深まる秋の月は残念ながら見られそうにありません。写真の月は「十○夜」位でしょうか?

 小さい時から朝日岳に登っていますが、もちろん今年は「新米管理人」として今までとは違った想いを持って山道を歩きました。私の中では朝日岳と朝日小屋に対する想いは、変わらないものもあれば、深く静かに形を変えていった想いもあります。

 そんな中、『山を歩くこと』について自分なりに「きっと、これかもしれない…」と確信に似た気持ちを抱く事が出来たように思います。

 8月16日、写真家の増村征夫さんとその友人の方と「照葉の池」までご一緒したのですが、その時間と道のりが本当に楽しかったのです。花の写真がご専門の増村さんですから、その解説やおしゃべりもとても素敵だったのですが、とにかく「ゆっくりゆっくり」歩く…。時間は倍ほどかかるのですが、歩くことそのものはもちろん苦になりませんし、花や山並みをゆっくり眺めながら、風や雲や空を感じる…。「山を歩くって、こんなに楽しいんだ!」「こんな歩き方なら、私もできる」…そんな風に思いました。

 写真家の森下恭さんと縦走した時にも、同じように感じました。「私強くないから、ゆっくりしか歩けません。ゆっくり歩いてください!」…立ち止まってはふーっと深呼吸し、また立ち止まっては山を眺め、花の名前を聞き、デジカメを取り出し、…そんな「ゆっくりゆっくり」の道のりは、増村さんと歩いた時と同じでいろいろなものが目に留まり、心にひびくものがありました。

 雨降りの中を歩くのは嫌いではないのですが、9月10日に北又から入山した時にも、雨に濡れた花や樹木がいっそう綺麗でいつもとは違った発見があり、心が洗われるようでした。

 「ゆっくりゆっくり」…そんな山歩きがいいなぁ。そして、朝日岳はそんな山歩きがとても似合う山だと思います。

2001/10/01  雨に濡れて・・・ハクサンフウロ

2001.9.19   水平道にて

2001/10/02  私が初めて朝日岳に登った頃のこと

 濃いガスの中で、滴をつけた「ミネウスユキソウ」  2001.9.19

 昨日も今日も朝から強風が吹き、雨が激しく叩きつけました。やっぱりお客様はゼロ…。寂しく哲也と二人、ウロウロしています。寒くて暗くて、動きもいつも以上に(笑)鈍くなっています。あらあら…。

 今日は私が初めて朝日岳に登った頃のことを書きましょう。

 私が父に連れられて最初にこの山へ来たのは、小学校3年。当時は、小学校の子どもが朝日岳に登るのはかなり珍しかったようです。

 6月下旬の山開きでした。でも山開き登山会の一行とは別に、土曜日の午後から、私の学校が終ってから登り始めました。恵振山まではズック、残雪のある夕日ヶ原からはキャラバンに履き替えて。

 途中からどっぷり暮れた山道を子ども心にどんな気持ちで歩いたのでしょうか。心配した関係者の方が迎えに来てくださったのを、今でもはっきり覚えています。藤田さんと吉江さんでした。「ここは俺達にとっては、庭みたいなもんだ!!」…その言葉をとても羨ましく、頼もしく聞いた私でした。

 当時の写真が残っていますが、かなり雪の残る夕日ヶ原で父の担いだキスリングの、そのまだ上に乗っている私がいます。

 それからは毎年山開きに参加。最初は私だけだったのですが、いつか父は4人の娘全員を連れて登るようになりました。山開きでは参加者の皆さんにとても可愛がってもらいました。夕日ヶ原での楽しみといえば、ピッケルですくった雪と小豆の缶詰、そして練乳で作ってもらった「カキ氷・ミルク金時」…美味しくて、大好きでした。

 あの頃は大人の皆さんから「何年生??強いねぇ!」と言われるのが嬉しくて、あの辛い恵振山の坂なんて全然苦にならなかった(笑)

 大蓮華山保勝会の皆さんに花の名前を教えてもらったのもこの頃。そして山の歌も…。山開きではキャンドルサービスに感激した思い出や、「一番若くてかわいいから」と(笑)、女神様役になってキャンドルを点火する大役を担ってドキドキした記憶も鮮明に残っています。

 あれからもう30年以上が経ちました。まさか私がこの朝日小屋の管理人になろうとは、当時の皆さん誰一人として想像しなかったでしょうね…。

2001/10/02  ウラシマツツジ

2001.9.19

2001/10/03  今年の紅葉

  水平道の紅葉と雪倉岳

 9月の中・下旬から最近にかけても、紅葉についてのお問合せのお電話をよく頂きます。「今年の紅葉はどうでしょうか??」…正直言って、新米管理人としては何とも答えに困る質問です。そうかと言って、適当に返事をする訳にはいきませんから、なるべく丁寧に見たままをお伝えするのですが、紅葉もお天気次第なので、どう変化していくのか何とも予測がつきません。

 8月末日頃に一度かなり冷え込んだことがあり、今年は寒さが早いのではないかと予想され、それに伴い紅葉も例年より早く訪れるのではないかと思われました。しかし、その後一気に冷え込む気配はありませんでした。

 そして9月に入り、中旬にはかなりぐずついた天候が続いたこともあって今年の紅葉はあまり期待出来ないのではないかと思われ、色付く前に枯れていったナナカマドなどが見受けられました。が、昨日と今日では色の深まり方がまた違っているということが良くあります。

 強風と雨にたたられたこの2日間ですっかり落葉しているかと思われた朝日岳の中腹も、遠目に見ても今日はまだ綺麗に黄色や赤の色が鮮やかでした。そんなに悪くもないかなぁと思わせるように賑わっています。

 蓮華温泉方面の五輪の森、五輪尾根から見た雪倉岳や朝日岳、また北又・恵振山方面もこれから連休にかけてが見頃だということです。

 ただし、確かに赤や黄色の鮮やかな紅葉は綺麗なのですが、「素晴らしく鮮やかな紅葉」というのは決して毎年楽しめるわけではないのです。だからこそ「今年は…」と期待をしていらっしゃるのだと思いますが、出来れば色の良し悪しだけを見るのではなく、その年その年、その山その山の、木々や高山植物たちの冬支度と夏に向けての準備の様子を、確かめるようにそしていとおしむように眺めてやってもらえたらと思います。

 先日新潟大の平先生と歩いた時には、ハクサンコザクラが小さな種を持っている様子を解説して頂いて、新鮮な驚きで胸がいっぱいになりました。同じ山を歩いていても、何かを少しづつ感じられるようになれば、またきっと楽しいかもしれませんね。

2001/10/03  霜柱

2001.9.24 早朝  

      頂上までの登山道で

2001/10/05  紅葉を見に

  白馬水平道から紅葉を見る

 昨日はモタモタしていて、日記をUP出来ませんでした。でも、ぜひ皆さんにお見せしたい写真を沢山撮って来ましたので、今日は何枚か載せますね!!(nyamaさんに、またまた写真が多すぎる、大きすぎる…と言われそうですが・笑)

 実は昨日午後から水平道廻り〜分岐〜頂上〜小屋のコースでお散歩に行って来ました。もうそろそろ下山の日が近づいて来たのでゆっくりお散歩なんて出来ないかと思い、お天気もよくて紅葉の様子も気になりましたので…、ちょっと出掛けてみたくなりました(笑)

 昨日のパートナーは、ナントてらちゃん!…またぁ、いつから来ているかって?小屋閉めを手伝いに、みんなより一足早く登って来てくれました。

 紅葉の具合がどんな感じかというのは、見ていただければお分かりかと思いますが、水平道も五輪尾根もかなり綺麗だと思います。連休中はきっと登山者の皆さんを、楽しませてくれることと思います。明日からの連休中は、お天気もまずまずだとか…。今年最後のお祭り騒ぎと、大勢のお客様で賑わってほしいものです。

 今日は朝からぐずぐずしたお天気で、お客様は地元のお二人のみ。ちょっと寂しいようですが、昨日いらした写真家の森下さんと、今日の夕方来てくれた助っ人の板さんを交えてまたまた…また「大宴会」で、盛り上がっています(笑)

 ビールをコップ一杯飲むと顔が真っ赤になる私を差し置いて、みんなよく喋る、よく飲む、そして食べる…。私はストーブの傍で、この「日記」を書いています(笑)

2001/10/05  ツルリンドウ

白馬水平道にて

2001/10/05  頂上付近より

蓮華温泉方面を望む

2001/10/11  最後の最後までドタバタ…でもいよいよ最後の夜になりました!!

「小屋閉め」直前の連休、みんなで撮った記念写真

  photo by nisiyama

 5日に紅葉の様子をUPした後、6日〜10日まで丸5日間も日記をお休みしてしまい、本当にすみません!…きっと小屋閉めの直前で目の廻るくらい忙しかったのだろうとか、毎日毎日名残惜しく「大宴会」続きでそれどころではなかったのだろうとか(笑)、どうしたのだろうと巷ではいろいろの情報が流れていたようですが、…どちらとも言えない状況で、やっと今日は「とにかく最後の夜、日記を書いて皆さんにご挨拶を!」とパソコンに向かっている次第です。

 真夏にも確か、小屋に居ながらでこんなに続けてお休みしたことはなかったように記憶しています。9月下旬〜10月初めにかけての毎日があまりにのんびりしていたので、小屋閉め直前のドタバタでリズムも少々狂ったのかもしれませんネ(笑)

 6日には、今夏のアルバイトやグリーンパトロール、そして「朝日小屋ファミリー」のみんなが大勢集まってくれました。そしてもちろん「前夜祭」…。

 7日は、今シーズン中週末従業員として頑張ってくれた美枝ママと由紀子さんを初め関係者、そして継続取材をさせて欲しいと言われたチューリップテレビの皆さん(小屋閉め・下山まで)等も加わり、「小屋閉めイベント・本番」!!…大勢の仲間たちが新米管理人の一年目をサポートしてくれて、無事に小屋閉いが出来る事を一緒に喜んでくれました。

 そして8日には、いよいよ小屋閉めの実働部隊が上山して来てくれました。心強い助っ人のメンバーはもちろん室堂から駆け付けてくれた梅さんと、父の時代に10年も小屋で頑張ってくれた一旗。そして「後夜祭」。

 しかしそれからの毎日は、小屋閉めに向けて毎日小屋の中がどんどん片付いていきました。2階のお客様のお部屋の畳を順番に上げていくと、何だか涙が出るほど淋しかった…。管理センターとテント場の公衆トイレは一足先に冬囲いを済ませました。シーツの洗濯も結構時間がかかりましたが、やっと今朝で完了。

 そしてそしてドタバタもありました!!

 最後の最後に「遭難(騒ぎ)」…。実際に、今朝の早朝から富山県警ヘリと新潟県警ヘリが出動して2機が空から捜索し、地上からの捜索隊も編成される直前だったのですから、それは大変でした!!

 強風に見舞われた10日はお客様がなく、9日にお泊りの2パーティーが実質今シーズン最後のお客様でした。10日朝に出発されたのですが、その内の4人グループが途中で登山道を間違え、蓮華温泉へ下山するはずがとんでもないことに…。今朝の8時過ぎになってご本人達から連絡がありやっと無事が確認されました。

 今日は、梅さんと哲也は大切な白高地沢の仮橋撤去の仕事もありました。しかし、早朝5時半から瀬戸川の橋までの登山道を、捜索を兼ねて出発。残った部隊も、電話の応対に追われつつ、一旗は水平道の鎖を撤去したり、孝太とジッキーは厨房の仕事等など、みんなで一生懸命仕上げてくれました。

 「今シーズン最後のお客様」にもしも何かあったら、私は管理人として一生悔いが残ると思いました。本当に心配でした。でも、夜には帰宅されたご本人さんからお電話がありましたので、これで新米管理人のシーズンも後は明日最後の作業を残すのみ。

 今晩、「今シーズン最後の夜」を過ごしているのは、梅ちゃん・一旗・哲也・孝太・ジッキー・森下さん・チューリップテレビの西山さん・三国谷さん・尾島さん、そして私の10人です。

 小屋開けしてから、明日でちょうど4ヶ月。朝日岳、朝日小屋、そしてこの「日記」をはじめ「朝日小屋ホームページ」を可愛がって頂いて有り難うございました。

 下界に下りても、来年の朝日小屋管理人生活に向けてまたこの日記も続けていきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

 今食堂では、「夕日ヶ原慕情」がずっと流れています…。そして「朝日小屋ショック」の面々がワイワイガヤガヤ、まだまだ夜は長いようです。

2001/10/11  今シーズン、朝日小屋から見る最後の夕焼け

2001.10.10

 今宵は雨で、夕陽が沈むのは残念ながら見られませんでしたが、昨日の夕焼けはまた見事でした。

 今シーズン、朝日小屋から皆さんにお届けする最後の夕焼け

2001/10/15  朝日小屋の今シーズンは終了しました…そして、無事下山!

  入り口に板がはめられ、今シーズンの営業が終了した朝日小屋

 夏山シーズンを中心に約4ヶ月の間、登山者の皆さんにご利用頂いた朝日小屋ですが、本格的な冬の始まりを前にして、10月10日で今シーズンの営業を終了し、12日には関係者全員無事に下山して来ました。バタバタした中で、ご報告が遅くなり申し訳ありませんでした。

 本当にいろいろ有り難うございました。

 「新米管理人」は大勢の方々に力を貸して頂きながら、何とか無事に一年目のシーズンを終える事が出来ました。またたくさんの登山者の皆さんに、花を訪ねる山旅を楽しんで頂くことが出来た事を何より嬉しく思います。

 長いようであり、でもあっという間の4ヶ月間でした。

 張りつめた気持ちのまま、「やるしかない」の気持ちで迎えた小屋開け。…そして、体力的にも精神的にも無我夢中だった、「海の日」から8月下旬の夏山最盛期。…気持ちを整理しつつ、静かに深まりゆく秋の中で、朝日岳とじっくり向き合うことが出来た9月の毎日。…重症の『朝日小屋ショック』になって「帰りたくない」を連発しつつ、大勢の皆さんの励ましで、来年に向けて頑張る気持ちを持てた小屋閉めまで。

 哲也をはじめとしたアルバイトとグリーンパトのみんなには、本当にあったかい気持ちをたくさんもらいました。朝早くから夜遅くまで、ドタバタした毎日でかなりきつかったと思いますが、小屋閉めには殆どが大集合してくれて、まるで何十年振りに再会した同窓会のような雰囲気でした。こんなに素晴らしい若者たちに、管理人一年目に出逢えたことは私の人生の中での宝物です。本当に有り難う!!

 自称「週末従業員」のお姉さま方をはじめ、ゆかりが心配で毎週のようにお手伝いに来てくださった皆さん、有り難うございました。お陰さまで、本当に助かりました。

 そして、朝日小屋をご利用下さった登山者の皆様。忙しくて気持ちが回らずにご迷惑をかけたり、不愉快な思いをされたことはなかったでしょうか。懲りずに、また花を訪ねておいで下さい。お待ちしております。

 無我夢中でスタートした「新米管理人」の一年目はどうだったのでしょうか。シーズンオフにはいろいろ整理することが出てくると思います。私の気持ちも含めて。…どんな「朝日小屋管理人」になりたかったのか、もう一度初めの気持ちに帰って反省をし来年に向けての目標も立てたいと思います。自分が考えていたように出来たのか、足りないところは何だったのか。

 朝日岳と朝日小屋を想う自分の気持ちは、管理人になっても変わらないものもありますが、少し形を変えたもの、膨らんだ思いもあるように思います。来年も頑張れるように、このオフには自分の気持ちを静かに見つめて、きちんと充電したいと思います。

 先日も書きましたが、この日記も毎日とはいかないと思いますが、皆さんに忘れられないように(笑)続けていきたいと思います。また、掲示板でも皆さんとの交流は大いに盛り上げていただきたいですね。

 休む間もなく、14日には「幻の大桂」を見に行って来ました。この後も雪が降るまで、ボチボチと他の山へ行く計画もあります。またそんな様子も載せたいと考えています。

 シーズン中、本当に有り難うございました。また来年、朝日小屋でお会いしたいですね。では…。

2001/10/15  来シーズン、また朝日小屋でお逢いしましょう!!

冷たい雨の降る中、無事小屋閉めを完了しました。

2001/10/15  最強の下山部隊(!?)でした…有り難う!!

今年はヘリコプターを使わずに、「逆ボッカ」で荷物を下げてもらいました。かなり重くキツイ仕事でしたが、みんな頑張ってくれました。本当に有り難うございました。

 最強の、「逆ボッカ」・下山部隊は左から

   カズキ・孝太・梅さん・哲也・森下さん・ジッキー

 小屋閉めの最後まで撮影して下さったチューリップテレビの西山さん・三国谷さん・尾島さんも一緒でした。

2001/10/17  「幻の大桂」を見に・・・

幹の前で大きく手を広げている私、わかりますか?? photo by nyama

 亡き父が、大きな大きな樹の前で両手を広げている写真があります。その樹が「幻の大桂」…私も同じ樹の前で、父と同じポーズを取ってみました。

 14日、大蓮華山保勝会の行事として「幻の大桂」の探勝会が行われ、新米管理人も参加して来ました。

 富山県内最大級といわれる桂の巨木は、黒部川支流の黒薙川上流部にあります。北又小屋から水量も多い黒薙川を何度も徒渉し、歩くこと約3時間。それも道無き道を、ルートを判った保勝会のメンバーに案内され最短距離を通っての事で、ひとつ沢や尾根を間違えれば一晩帰れないという奥深い場所にありました。

 …「幻の大桂」は、幹廻りが約14.1M、樹高は約35Mあり、樹齢は500年から800年と推定されているそうです。江戸時代には、黒部一帯を領地にしていた加賀藩が「奥山廻り」により、盗伐や密猟者を監視していたとされていますが、その様子を記した文久3年(1863年)の「下奥山日記」には、「杉谷大桂の木の下で昼食をとり」というくだりがあり、当時からこの巨木が見回りルートの重要な目印だったらしい事が伺えます。(以上、H6.12.5付け・朝日新聞よりの抜粋を含む)

 他の方々と一緒に私の父がその巨木を見つけたのは、かなり以前だったようです。父は、山菜採りやきのこ採りに長けており、結構他の人が行かない(行けない)場所へもよく足を運び、春にはゼンマイや秋にはなめこを採って山を歩くのが大好きでした。そんな父がこの樹を見つけた時の気持ちはどんなだったのでしょうか。

 「ゆかり、お前、オヤジと親子2代でこの大桂を見たなあ…」とは、小さい頃から私を知っている保勝会のメンバーの方の言葉。

 なかなか人の踏み込めない奥山で、何百年も静かに息づいて来た「幻の大桂」。朝日岳周辺の自然の豊かさと奥深さに、またも魅せられた新米管理人でした。

2001/10/17  へっぴり腰で徒渉中!

深い所では、お尻までが水の中。

 太腿まで川に浸かり、かなり四苦八苦(笑) photo by yomojii

 何しろ、12日の小屋閉めでは下山が夜遅くなってヘッドランプを点けての行動だったし、その夜の打ち上げの疲れも重なり、14日にはまだかなりダメージが残っていました。

 その上、生まれて初めての徒渉で、本当に…ヘロヘロ!!

 何度川を渡ったことやら。川から上がるたびに身体がフラフラして、終いには何キロも遠泳したみたいに。そして一緒に行ったメンバーといえば、熊のような仙人のような「山男」ばかり。(失礼、「週末従業員」の由紀子さんも参加)もう途中で「帰ろうかしら」と思ったような、そんな山歩きでした(笑)

 でも、行って見て来て本当に良かった!!

2001/10/18  突然ですが…また「出張」に行って来ます!!

下山の日、夕暮れ近くに8合目から見た富山平野と富山湾

         「帰るんだ…」という気持ちで眺めていました

 突然ですが、「出張」に行って来ます(笑)。といっても、もちろん遊び心が旺盛で、急に思い立ったのです。…太郎平小屋まで。もし天候と時間が許せば、薬師岳の頂上も往復したいなとは思っていますが。

 なかなかこの時期になると営業している山小屋が少なくなってきています。11月には立山の妹の小屋に行ってくるつもりでいますが、雪が降る前にまだもう少し歩いてみたいなぁと考えていました。今週末と来週末もどこかへ行く予定でいますが、でも平日に一人で行くとなるとどこにしようかと迷いましたが、高校生か大学生の時に一度知合いの方に太郎平小屋へ連れて行ってもらった事があって、折立からの道は記憶にあるので、もう一度登ってみようと思いました。

 あの時は子ども心にも、高天ヶ原の静けさとなんともいえない素敵な雰囲気がとても印象に残っています。

 そろそろ小屋閉めが近づいた太郎平小屋で、またまた登山者の皆さんの気持ちになって来ます。…平日に急に思い立って山を歩くなんて、かなり贅沢だと思いますが、これも仕事(!?)、許してください(笑)また帰ってからの報告をお楽しみに。では。

2001/10/18  チューリップテレビで・・・

  小屋閉めの12日、最後に発電機室の板をはめ込む梅さん

 チューリップテレビの皆さんが、今シーズンの小屋閉めの様子を取材に来ていらっしゃいましたが、その模様が「とりあえず(?)」放送されるそうです。…「とりあえず(?)」というのは、この後も何か考えていらっしゃるそうなので、ということらしい。

 放送日は、19日(金)夕方6:20〜の「ニュースの森 とやま」の中で。約5分間程の放送予定だそうです。地元富山県の方しか見る事が出来ませんが、もしお時間が許せばチャンネルを合わせて下さい。

 ナンだかまたまた朝日小屋のドタバタした様子が放映されると思うと、かなり戦々恐々の私です(笑)。

2001/10/20  最高の山行!…太郎平小屋・太郎山・北ノ俣岳

   太郎平小屋のスタッフの皆さんと   photo by yosiyasu

 素晴らしいお天気に恵まれ、本当に最高の山行(「出張」?)になりました。

 18日〜19日と、一泊で折立から太郎平小屋まで行って来ました。残念ながら、ぜひゆっくりお話したかったオーナーの五十嶋さんにはお会い出来ませんでしたが(5月にご挨拶には行って来ましたが)、ゆっくり流れる時間の中に自分を置いていろいろなことを想い、考えてきました。

 折立から三角点までの道は、深まる秋に樹木の葉が落ち、少し曇った空が明るく感じられるほどでした。急坂とはいえ、樹林帯の中の階段状の登山道は、やはり北又からの恵振山の急登の方がはるかにきつく、ゆっくり歩く私にはとてもやさしい登りでした。

 三角点を過ぎると視界も開け、石畳の道を珍しく感じながらとにかくゆっくりゆっくり。左手に剣岳や立山の山並み、そして薬師岳をずっと見ながら。朝日岳からははるか遠くにしか見えない白山が、右手に大きく望む事が出来ます。途中行き交う登山者の方は一人もいない。

 相変わらずゆっくりそこここで立ち止まってデジカメで写真を撮りながら、そして昼食とお昼寝付きでしたが、それでも約4時間半で太郎平小屋に到着。ただ、残念ながら午後1時近くだったので無理をして薬師岳の山頂を目指すことは諦め、小屋でゴロゴロしてしまいました。(何しろ前日の睡眠が2時間だったので。「登山者失格」ですね…笑)

 夕陽と雲海も最高! …朝日岳とはまた一味違うスケールの大きさ、そして夕陽に輝く薬師岳の勇姿も堪能しました。

 ナンと、平日だった為か、とびきりのいいお天気だったのにお客様は他に誰もいらっしゃらなくて、私一人!…淋しいというか、もったいないというか、贅沢というか…(笑)。スタッフの皆さんとお喋りしながらの夕食、そしてトランプゲーム大会。最高の待遇でした。皆さん有り難う!!

 日中あまりにゆっくりしたからか、なかなか寝付けず、真夜中に起き出すと満天の星空…、本当に素晴らしかった!!朝日小屋からの星空もそれは素敵なのですが、太郎平からのあの星空は、う〜ん、ナンとも言えず、ひとり占めするのが申し訳ないくらいでした。

 翌朝は、5時半に小屋を出て北ノ俣岳まで往復。本当は薬師岳へ登りたかったのですが、午後から二女と富山市内で待ち合わせをしていた為、どうしてもお昼過ぎには折立へ下山する必要があり、やっぱり薬師岳登頂は断念。まぁ、山は逃げていかないので、また来年かな…。

 霜柱がザクザク音を立てる朝の道。寒かったのですが、景色も気分もスッキリと最高。朝焼けの山々、淡いピンク色の白山…。北ノ俣岳は360°の眺望が素晴らしく、朝陽に輝く山並みに一人感嘆の声を上げつつ、寒さを堪えてずっと佇んでいました。

 「帰りたくな〜い!」をここでも連発。「もう一泊いかがですか?」のスタッフの皆さんのお誘いに、後ろ髪をいっぱい引かれつつも、時間ギリギリになってやっと下山開始。

 前日には雲海の下で見えなかった有峰湖が湖面をキラキラ輝かせていましたし、紅葉の山々も素晴らしく、私の大好きな樹林帯の道を一人で楽しみながら下りて来ました。

 実は、薬師岳の山開きにぜひ来ませんか?と、夏山シーズンが始まる前に薬師岳山荘の堀井よし子さんからお誘いを受けていたのですが、朝日岳の山開きの一週間前で、もう私も山へ入らなくてはいけなかったので、残念ながら諦めていたのです。でも来年からは、朝日小屋を閉めて下りてきたら必ず「太郎へ行こう」と思いました。出来たら、足を伸ばして他の山も訪ねてみたいな…。

 遊んでいるように見えるでしょ!?…遊んでいるんですよ、本当に(笑)。でも、私なりにいっぱいいっぱい考えていたりして…。新米管理人は身体はもちろん、気持ちも心も頭の中も整理しているんです。来年のエネルギーをたくさん蓄えて、頑張れるように。

 この後もいろいろ予定を立てています。あまりここで書くと羨望の的になるから止めておきます(笑)。でも、山に雪が降るまで…もう少しだけ、ほんの少しの時間、山の中に居たいので。

2001/10/20  早朝の薬師岳

地塘に薄氷が張り、薬師岳の姿を見る

2001/10/20  白山遠望

朝焼けの中、淡くピンク色に染まる空、そしてだんだんと明るく輝いていく白山の姿に、胸がドキドキしました。

2001/10/20  秋の山道

私が歩くと、落ち葉がさくさくと音を立てます。

 一人こんな道をゆっくり歩くのは、ただ幸せ…

2001/10/22  中俣新道から、晩秋の雰囲気漂う黒岩平へ…

中俣新道入り口で、案内役の平石武仁さんと  以下photo by yonetaka

 21日(日)、新潟県糸魚川市小滝のヒスイ峡奥にある中俣新道から、栂海新道の黒岩山・黒岩平を訪ねました。早朝から出掛けた日帰り山行です。

 以前より前管理人・下澤三郎と懇意にして頂いていた糸魚川・いりやま岳友会の中村光信さんから、「ゆかりさん、ぜひ中俣へいらっしゃいませんか」と再三のお誘いを頂いていました。 

 また山好きの私の主治医・Y先生からは、昨年よりずっと「どうしても中俣新道を登ってみたいんだ!」との熱いラブコール。

 そして私はといえば、「やっぱり管理人としては、お客様が利用される登山道は、絶対に自分で歩いてみるべき」と考えていました。実は10月10日の遭難(騒ぎ)のお客様は、蓮華温泉へ下山するはずでしたのに、「吹き上げのコル」から間違って栂海新道へ入り、ナンと中俣新道を下りて翌朝「高浪の池」から連絡があったという顛末だったのです。その事もあってどうしても今年行けるうちに「中俣新道〜黒岩平」へ登ってみたいと強く思ったわけです。

 そんなわけで、今回の同行者は主治医のY先生、いりやま岳友会からわざわざ案内役として平石武仁さん(平石さんは小屋閉め直前に朝日小屋でお会いしていました)。深まる秋を思い切り感じた、楽しい山行となりました。

 ヒスイ峡から奥の林道入り口には施錠がしてありますが、中村さんのご配慮で鍵を開けて頂く事が出来ました。

 取り付きから中俣小屋はすぐですが、そこを過ぎるといきなりの急登。恵振山の坂に慣れているとはいえ、振り返ると「こんな所を登ったんだ!」とビックリする位の急斜面です。しかし、それも少し我慢して登ればすぐにホッとするようななだらかな登山道が連続します。ここでもいつものように、同行のお二人には「私、ゆっくりしか歩けませんから」とお願いしました。平石さんは「いつも雨飾山の山行で、沢山の方を案内したりしていますから、ゆっくりには慣れています。大丈夫!」と、私の歩きやすいようにペースメーカー役を引き受けて下さいました。

 一面が黄色い世界と勘違いする程、ずっとブナの林の中を歩きます。時に急登もありましたがそれ程長くは続かないし、最初からゆっくりのペースで歩きましたので、息切れもなし。いつも登りを苦手としている私を心配したY先生がビックリされる位、余裕の歩き。「これはもしかしたら、最近山を遊び歩いているせい(…成果!?)かしら」とひとり言(笑)

 「いい道ですねぇ、いい山。私こんな道が大好き!!」…そんな言葉を繰り返しながら行くと、尾根道の途中からは視界が開けてきて、五輪山や犬ヶ岳の稜線が左右に見え始めました。そうなると、ブナ林の中をゆっくり歩いていた私の様子も、ナンだかうきうきした感じに変わり足の速さも調子付いて来ました。

 歩き始めの取り付きから黒岩山直下の分岐点までは約4時間半。毎回の事ですがデジカメで写真を沢山撮り、ゆっくりおしゃべりもしながら歩いたのですが、コースタイムの5時間より早く到着しました。

 黒岩山の頂上に立ちサワガニ山や犬ヶ岳の山並みを眺めた後は、晩秋の雰囲気を漂わせる黒岩平へ。ここでも告白しますが、黒岩平へももう20数年遊びに行った覚えがないのです。昨秋父の遺影と共に長栂山までは来ているのですが、朝日小屋からの「散歩コース」として黒岩平はちょっと遠いのでなかなか来るチャンスがなかったのです。

 少し寒かったのですが、それでも3人でビールで乾杯!! 流れる湧き水を汲んでお湯を沸かし熱いラーメンを食べたりコーヒーを飲んだり、とても幸せな時間…。

 ところで、絶対に登山者の方には会わないと思っていたのに、黒岩平で栂海新道を登って来たという単独行の若者にバッタリ。「今日は朝日平でテントを張ります」という彼に「頑張って!」とエールを送りましたが、そのまま付いて行きたいような複雑な管理人の気持ち…。

 ここまで来たら朝日小屋まで行きたいなぁ…という後髪引かれる思いを残して、下山開始。下りは結構得意な私、心配するY先生をよそに軽快なピッチで下りていくと、平石さん曰く「清水さん調子いいですね。ナンだか後ろからストックで突かれそう(笑)」。

 そして「ここは僕達の庭みたいなもの」とおっしゃる平石さんは、右を見たり左を探したりしながらキョロキョロ。どうやらキノコを物色していらっしゃるようでしたが、ちょっとまだ早いようでなめこが少し見つかっただけでしたが、それでも秋を思い切り感じながらの下山は、分岐点から約2時間半。結局コースタイムの4時間はかからず、余裕をもっての日帰り山行でした。

 本当にいい道、そしていい山でした。思い切りブナの葉が落ちて、空がよく見えました。夏はきっと鬱蒼とした樹林帯でまた違った感じがするのだと思いますが、登山道もきちんと整備され、いりやま岳友会の中村さんや平石さん他地元の皆さんが注がれる愛情が山の中に満ちているのを充分感じられ、本当に行って良かったと思います。

 そして黒岩平。なかなか行く事のなかった場所ですが、ここも亡き父が大好きでした。今度は来年のシーズン中に、ぜひ小屋から遊びに行きたいものです。皆さんにもぜひお奨めしたいコース、中俣新道〜黒岩平。

 最後まで私の右足を心配しつつお付き合い頂いたY先生と、いろいろ教えて頂いた名ガイド役の平石さん。楽しい山行をどうも有り難うございました!!

2001/10/22  ブナ林の中を行く

急登も、落ち葉を踏みしめながらゆっくり歩く

2001/10/22  黒岩山山頂

来年は必ず栂海新道を行きたいと、ひとり密かに心に誓う…(笑)

2001/10/22  黒岩平にて

遠く長栂山方面をバックに

 う〜ん、とっても嬉しかった!!

2001/10/24  立山室堂山荘の妹と…

    天然のなめこ、中俣山にて

 今日の夕方から再び山に行って来ます。今回は、ナンと立山室堂山荘の妹・佐伯法子と一緒です。ガイドは梅さん。

 実は、9月初めに3県山小屋協会の研修会で室堂山荘に泊まった折に、結婚してから殆ど山に登っていない妹が珍しく何処かへ行きたいという事になり、それならゆかりが山を終って来てから2人で行ってくれば、とご主人の千尋さんが提案してくれたのでした。でもとにかく忙しい妹のこと、実現するなんて思っていませんでしたが、梅さんのガイドで「下の廊下」に挑戦(!)することになりました。(但し時間がないので、途中ちょっと??のルートを使います)

 しかし、結婚してから15年近く1時間以上山道を歩いた事がないという妹(でも高校時代はU高校山岳部所属で、インターハイにも出場経験あり)と私のコンビですから、体力・脚力に不安があり、また少々「高所恐怖症」ときていますから、さてさてどうなることやら…(笑)。

 もし、歩けそうになかったらすぐに戻るという条件での今回の山行。

 日本最古の山小屋のオーナー夫人と、北アルプスの最北端の山小屋・新米管理人、という姉妹の組合わせ。どんなズッコケ珍道中になることやら…、梅さん宜しくお願いします!

2001/10/24  26〜28日の予定

 ナナカマドの実、その奥には犬ヶ岳の稜線

 「下の廊下」から帰って来て翌日からは、「栂海山荘の小屋閉い」に行って来ます。

 9月にさわがに山岳会の小野 健さんたちがお見えになった時に、10月末の小屋閉めにいらっしゃいませんかとお誘いを頂いていました。とにかく朝日小屋へおいでになる登山者の皆さんの気持ちが少しでも分かるようになりたいと思う私は、ぜひ行ってみたいと思いました。今シーズン受付に座っていると、栂海新道へのお客様が20年前に比べてとても多くなっているのにビックリさせられました。5月に白鳥小屋まで登って来ましたが、栂海山荘は行っていませんので、とても楽しみです。 

 今回は余裕をもっての山行で、26日正午坂田峠出発で白鳥山・白鳥小屋泊、27日は白鳥小屋〜犬ヶ岳・栂海山荘泊、28日下山、の予定。

 帰って来たら楽しい山行の様子を日記にUPしますので、それまでお休みさせて頂きます。宜しくお願いします。

 では、行って来ます!!

2001/10/30  行って来ました、「下の廊下」!!

「下の廊下」鳴沢小沢付近にて 01.10.25  photo by umesan

 「下の廊下」そして「栂海山荘の小屋閉め」と、連続して山行し28日に帰って来ました。しばらくご無沙汰していた日記ですが、無事帰宅の報告が遅くなってしまい「どうしたの?」と心配したメールも頂きましたが、今日はやっと落ち着いてパソコンの前に。

 25日は立山室堂山荘の妹と一緒に「下の廊下」へ、ガイドは梅さん。

 24日夕方に木崎湖畔の宿舎へ入りました。妹と山を歩くのはもちろん20数年振り、そして2人で旅館に泊まるのは初めてかも?そんな女2人のかしましいこと、おしゃべりに花が咲きましたが、それでも翌日のことを思えば、次第に緊張感が高まります。

 翌朝は扇沢から一番のトロリーバスで黒部ダムへ。ダム下からいよいよ「下の廊下」が始まりましたが、今日は仙人ダムまでの行程。とにかく「高所恐怖症」に加えて、あまり高低差のない道とはいえ、16.6キロを無事リタイアせずに歩けるか心配でした。

 いつもは尾根道か稜線歩きしかした事のない2人。河原を歩いた初めのうちは結構景色も楽しめたのですが、「新越沢出合」を過ぎた辺りからでしょうか、「へつり」があったり、スノーブリッジが切れて大きく被さった中を急斜面に架かる梯子の段を踏み外さないように慎重に上り下りしなくてはいけない所では、かなり緊張しました。梅さん曰く「今年の残雪は大した事がないが、去年だったら、法子さんもゆかりさんもちょっと無理だったかも…」

 とにかく、景色を眺める時は必ず立ち止まって見る事。…そんな注意を厳重にされての歩行でしたが、危ない箇所を通過する時には知らず知らず息を殺し神経を集中!それでもホッと一息つくと何とかデジカメだけは撮らなくちゃ、と私(笑)

 さすがに「白竜峡」付近はへつりの連続で、最高のロケーションもゆっくり眺める余裕はありませんでしたが、峡谷の険しさと美しさ、そして特に深い峡谷の両側に聳え立つ壁を彩る見事な紅葉が織りなすその素晴らしさは、緊張感にも増して歩いて良かったぁと思わせるに充分な眺めでした。そしてこの時期に何箇所も未だ残る雪の塊。いかに峡谷の冬が厳しいものかを思い知らされました。

 本当は阿曾原温泉小屋の佐々木 泉さんの所でぜひ泊まりたかったのですが、今回は妹も私も翌日の予定があるという事で、仙人駅から上部軌道に乗せてもらって帰るというコースを取りました。ですから、仙人ダム〜阿曾原〜欅平間は次の機会に。

 実は今回の「下の廊下」山行、妹にも私にもそれぞれの目的がありました。

 妹は、自分の所で請け負っている登山道整備の箇所を自分自身の目で見て、オーナーやアルバイトの皆の苦労を肌で感じてくる事。よく話に出て来る「ダム下」「内蔵助の出合」「鳴沢小沢」「新越沢」「別山谷出合」etc…を自分で確認したい、という気持ちで行って来ました。

 そして私はといえば、…「黒部峡谷」を隔ててそれぞれに聳え立ち連なる「立山連峰」と「後立山連峰」、そして「中部山岳国立公園 北アルプス」。…朝日小屋は「北アルプスの最北端」。今まで私の中では点でしかなかった朝日岳を、線で繋いでもっと立体的に捉えたいし、広がりをもって認識したい。その為には少しでも黒部峡谷を歩いて見られたら、そんな思いが今回の「下の廊下」山行になりました。

 もちろん2人とも無事目的達成!!…トロッコ電車に乗り宇奈月駅に着いた頃にはもう日が暮れてしまっていましたが、心は大満足。軌道に乗る時間を気にしながらも、上手にガイドしてくれた梅さん、本当に有り難うございました。

 この次は、「ぜひ行きたかった栂海山荘・犬ヶ岳へ」の山行の様子をおおくりします。

 お楽しみに。

2001/10/30  橋を渡る

内蔵助谷出合に架かる橋。

 急峻な沢からの流れが豪快で、緊張し慎重に渡りました。

2001/10/30  見事な紅葉

聳え立つ壁に一面の紅葉。見事でした。

2001/10/30  大きな雪の塊の傍を行く

残雪の時期はルートが違うらしいが、今回は怖そうな梯子を避け、ロープで急降下。

 それでも頭上にはポタポタと滴を垂らす不気味な塊が…。

 下では、心配そうな梅さん。

2001/10/30  S字峡付近

見事な渓谷美と、なんとも言えない紅葉の素晴らしさ

2001/10/31  10月26日・坂田峠〜金時坂〜白鳥小屋へ

    白鳥小屋にて   photo by tera

 25日に「下の廊下」を歩いたばかりの私でしたが、翌日は念願の白鳥山・犬ヶ岳への山行。今回はさわがに山岳会の小野 健さんと伊藤正昭さん、青海町在住の長野ひとみさん、そして朝日小屋から哲也とてらちゃん、私の6人での楽しい山歩きでした。

 後からいらっしゃる小野さん以外のメンバーが、坂田峠を正午近くに出発。とびきり足の速い3人には先に行ってもらいましたが、彼らは食料等かなり重い荷物だったのでちょっと気の毒。でもゆっくりマイペースの私は、ひとみさんとお喋りしながら楽しく金時坂を登らせてもらいました。5月の時には、初めての道でもありまたシーズン初めで足慣らしも出来ていなかったからか、とにかくフゥフゥとただ一生懸命で、その名の通りの「真っ赤な金時さん」になってしまった私でしたが、今回は結構余裕もアリ。これもまた立続けに山を歩いている成果!?…とひとり嬉しくなってしまう(笑)

 「シキワリの水」では冷たい水を飲みひと休み。春には未だ雪が残っていて樹木も青々としていましたが、5ヶ月後に朝日小屋の管理人をひとシーズン終えて、今度は赤や黄色に色付いた同じ道を歩けるとは思ってもいませんでした。

 5月とはまた違う気持ちや感じ方で登った今回、ゆっくり秋を感じながら約3時間で白鳥小屋に到着。10月下旬とは思えないお天気の良さに、もちろん小屋からの眺めは素晴らしく、明日の目的地・栂海山荘、そして犬ヶ岳とその奥に見える朝日岳を何とも不思議な感慨で眺めていました。

 日帰り山行だった前回は見られなかった、日本海に沈む夕陽…朝日小屋から見るそれともまた違ってとっても素敵でした。本当に360°の眺望は最高!!

 夜は6人で大宴会。正昭さんが私達の為にと、わざわざ重たいベニズワイガニを担いで来てくださったので、もう宴会は大いに盛り上がりました!!

 実は私、多分無人小屋に泊まったのは初めてではないかしら…。まるで、宿泊学習で生まれて初めてお泊りする小学生みたいな気分でした。「お・NEW」のシュラフで寝るのを楽しみにルンルンでしたが、ナント、1階のストーブのお陰で2階が暖か過ぎて、どうやらシュラフを足で蹴飛ばしていたみたい(笑)

 いよいよ明日は栂海山荘・犬ヶ岳まで。きっと今日よりずっときついコースだと思うとナンだかドキドキ…。お天気が良ければいいな。

2001/10/31  「シキワリの水」

本当に冷たくて、美味しい水です。

 ちゃんと「ダム工事」?もしてあり、水が汲み易いように特注の赤い水溜めもありました。

2001/10/31  犬ヶ岳、そして朝日岳・前朝日を望む

白鳥小屋から

 青い空に山々の稜線がはっきり見え、前朝日から右方向奥には剣岳の勇姿もありました。


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