北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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梅雨明けは。。。

2002-07-19

ミネウスユキソウ    雪倉岳   02.7.13

 はっきりしないお天気が続いています。下界では蒸し暑い毎日だとか、それも本当に大変でしょうが、山の上は曇り空や時々の雨や強風で、山小屋としてはナントも辛い毎日!?(笑)。
 昨年の「海の日」は、好天に誘われてシーズン最高のお客様に恵まれましたが、今年は皆さん梅雨明けを待ち望んでいるもののなかなかはっきりしない梅雨空が続いているので、「お天気が悪いので取り止めました」というキャンセルも何件か入って来ました。
 今小屋の周りでは、ニッコウキスゲとコバイケイソウが満開ですが、「コバイケイソウの花がたくさん咲く年は、余りお天気がよろしくない!?」と誰かから聞いた事も。。。そんな話も、できれば朝日小屋パワーで吹き飛ばしたいものです。
 早く「梅雨明け」してほしい〜〜!!

やっぱり、20日は忙しかった!!

2002-07-21

チシマギキョウ   雪倉岳   02.7.13

 今、少しの合間をみてこの日記を書いていますが、正直かなり「目がショボショボ」状態です(笑)。これは私だけでなく、哲也をはじめアルバイトのみんなももちろん全員。
 昨日の朝日小屋は、夏山最盛期にはよくあるように、アルバイト部屋も全部明け渡さなければいけないような混雑ぶりでした。受付に座ってお客様の応対をしていると、トイレに立つ事もままならず、とにかく難なく大勢のお客様の部屋割りとお食事が滞りなく済むのを祈るように一生懸命に、ひたすら仕事をするのみ。それは、全員の気持ちです。
 我が4人の娘たちも総動員され(実は昨シーズンにも一度も実現しなかったシーンでした)、また由起子さんをはじめ去年のアルバイトのてらちゃんやさやか、Gパトのじっきー…みんなお手伝いに登って来てくれました。お陰様で、てんやわんやの厨房も片付き朝日小屋の長い一日も無事終わりかけた夜9時。。。
 「お母さん、お客さんだヨ!」。。。受付にいた四女の結の言葉に「えーっっ!?」
 蓮華温泉を早朝5時に出発したものの、60代男性3人のうち足の具合の悪くなった1人をかばいながら歩いて来たグループ。「吹き上げのコル」で別れ、リーダーが具合の悪い人に付き添い、残る1人が先に小屋まで連絡にきたという訳でした。
 ちょうど県警山岳警備隊の谷口隊員他、朝日岳方面救助隊の谷口邦夫隊長と水口隊員も小屋にいらっしゃいましたので、朝日小屋常駐の哲也を含めて4人が夜の道を朝日岳山頂付近まで出動する事になりました。
 幸いお客様にケガはなく自力歩行は可能でしたので、警備隊と合流した後も何とか小屋まで歩いておいでになりましたが、朝日小屋に到着したのは午後10時半。ナント、蓮華温泉を出発して歩き始めてから【17時間半】かかっています。
 その他にも、蓮華温泉からご到着のお客様がまたまた木道で転倒して右手が腫れているとの事で、「にわか看護婦」(笑)の私は、主治医のY先生に電話で指導を受けながらシーネ(副木)の装着や応対に追われ、そして立続けに遅くお着きのお客様の一件。。。
 管理人室はケガ人に休んでいただいたので、私もアルバイトのみんなも行き場所がなくなり、それぞれ食堂や受付、空いている所を探してわずかな睡眠を取りました。そして朝は3時起き(ご飯炊き組みはもっと早かった)。。。
 これが仕事…そうです、これが山小屋の仕事。
 未だ始まったばかりのシースン、笑顔を忘れることなく、睡眠不足と戦いながら頑張ります!!
 。。。でも、せめて1時間、ゆっくりお昼寝がしたいなぁ。

事故が続いて…今日もドタバタした朝日小屋

2002-07-22

山頂までの登山道で

 今年の朝日小屋は、繁忙期突入と同時に「事故」が連続しています。そのいずれもが「蓮華温泉方面の木道」に関係していますが、今日はついに今シーズン初めてヘリコプターで救助しなければならないケースが発生してしまいました。
 今日はさやか・じっきー・そして娘の沙知代が一旦下山するので、みんなで一服のお茶の時間に「人間ピラミッド」を作ったり、スイカ割りをしたりして久し振りに楽しいひとときを過ごしました。
 午前11時ごろ、「そろそろお昼ご飯の用意でも」と思っていた矢先に、電話がかかって来ました。…『事故が発生しました!』
 朝日岳山頂直下の“吹き上げのコル”から蓮華温泉側へ、五輪の尾根を少し下った木道で、昨日朝日平でテント泊された女性の登山者の方が転倒し、足を骨折し救助を要請しているという内容でした。
 通りがかりの登山者が負傷者を発見し、携帯電話の通じる地点まで移動して第一報を朝日小屋に入れてくださったのです。その通報を受けてすぐ県警の古崎分隊長に連絡して指示を仰ぎ、哲也・孝太・慎ちゃんの3人が現場に急ぎ、またその状況から県警ヘリ“つるぎ”が現場に出動する事になりました。
 哲也たちは、走る走る。。。「あんた達がケガしないで!!」という背後からの私の声も聞こえないくらいに山頂までの登山道を急ぐ姿が見えました。
 そして、哲也たちが現場に到着してとりあえずの応急処置を施して間もなく、県警ヘリも到着し無事ケガ人をピックアップし病院に収容しました。後から聞いた報告によると、ケガ人は52歳・女性、下腿骨骨折(2ヶ所)の重傷だったそうです。
 お昼前に出動した哲也たちが小屋に戻ったのは午後2時、それからお昼ご飯を食べさせて少し休んでもらいましたが、残ったメンバーもそれをカバーするのに一生懸命。私はといえば、やっぱりお昼を食べ損ねそうになり次々に到着されるお客様の応対をしながらお行儀の悪い“立ち食い”。。。
 
 哲也・孝太・慎ちゃんはもちろんの事、朝日小屋全体が「全力疾走」の毎日です。。。
 実は、18日(1件)、20日(2件)、そして今日と、連続して『蓮華温泉方面の木道での事故』が発生しています。そして、連日遅くご到着のお客様。。。20日は午後10時半、昨日も今日も一番最後のお客様は夜の7時を過ぎていました。それから夕食を温め直して、お弁当の追加を作って…。もう眠り始めていらっしゃるお客様もいらっしゃる時間なのに、到着された方の部屋を確保するのにまたまた右往左往する私。
 「遅い出発を平気だと考えているパーティー」
 「お花があまりにきれいで写真を撮り過ぎて、の言い訳」
 「元々の無理な計画(特にコース選びと、所要時間に対する甘さ)」
 「自分の体力・脚力などに対する過信…10年前はもっと早く着いたはずなのに、のひと言」
 「馴れ合い所帯・下界でのお友達感覚での判断の甘さ」
 「的確な指示と判断が出来るリーダーの不在」
 。。。いろいろ理由はあるでしょうが、小屋の受付に座っていると、それぞれのパーティーの方々から様々な姿が手に取るように見えてきます。
 
 いろいろ続いて、少々“ボヤキ”に聞こえるかもしれませんが(苦笑…)、山小屋管理人からの実態報告と警告と思って参考にしていただければと思います。

久し振りに、茜色に染まる空

2002-07-24

見事な雲海の中に沈む夕陽  

 去年は、あれほど毎日のように「夕焼け」の写真をUPして、NYAMAさんに「ゆかりちゃん、夕焼けを載せすぎ!」と注意されたのですが(笑)、今年はこれまでお天気がはっきりせず、夕焼けにもなかなかお目にかかれませんでした。
 富山県地方は、23日やっと梅雨明けし、これから本格的な夏がやって来ます。
 茜色に染まる空を見ると、何故かとても心が和んで落ち着きます。「明日も、ガンバロウッと!」…そんな気持ちになれるから不思議です。
 なかなか見られなかった「茜色」の空。アルバイトのあかねちゃんに「あなたの名前の由来となった色だよ」と言ったら、「山の上で見る茜色は本当に素敵、今までこんな夕焼けは見たことがない!」と、感動のあまり目を潤ませていました。
 今シーズン最高の人手になると予想される、今週末の27日が近付いて来ました。朝日小屋でも、すでに定員をはるかに超える予約が入っています。どうやら皆さん、お天気を気にしながら日程を調整されていたようですし、また去年の「海の日」が大混雑したのでそれを避けて計画を1週間延ばしたことが、結果的に昨年の海の日と同じように「27日集中」となったようです。頑張らなくっちゃ!!
 久し振りに見た茜色の夕焼け…また、元気をもらいました。

キャー!!。。。(悲鳴)

2002-07-26

朝陽に輝く雪倉岳、白馬岳、旭岳   02.7.25

 キャー!!。。。これは朝日小屋のみんなの悲鳴です。
 シーズンが始まってから、事故が多発しているとつい何日か前に書きましたが、今日もヘリコプターが出動する事故がありました。
 夕食の準備を始めた直後の午後2時過ぎ。今日宿泊の予約をしていらっしゃった団体のメンバーから、病人の発生と救助の要請を知らせる内容で携帯電話から連絡が入りました。白馬岳から朝日小屋に向かう途中、雪倉岳を越えた「燕岩」付近で、小学6年生の男子が吐き気と頭痛、体調不良を訴えて行動不能になったというものでした。
 週末の警備の為入山中で、夕日が原近くまで来ていた県警山岳警備隊の古崎分隊長にすぐさま無線で連絡を取り、指示を仰ぎながら哲也が出動準備をします。そうしているうちに、富山県の防災ヘリコプターが出動する事になり、哲也もヘリに同乗して現場に向かいましたが、濃いガスの為一旦引き返し、その後朝日小屋に到着した古崎分隊長も乗せた防災ヘリは一瞬のガスの晴れ間をついて男子とその父親をヘリに収容し、病院に搬送することができました。
 症状は比較的軽かったのですが、軽い高山病にかかっていたそうです。
 結局、哲也はヘリに同乗して現場に降り立ち、処理をした後水平道を走って小屋に帰って来ました。私は私で、無線の通信と電話での関係機関との応対に追われ、その為受付は再び今日入山してきたばかりの長女の沙知代に任せる事になり、人手をとられた台所は孝太を中心にみんなが頑張ってくれました。病人が無事に救出され、パーティーの最後の方が到着された夕方まで、そして100人以上のお客様で小屋はまたまたドタバタ。。。
 いよいよ明日は、『どういう事態になるかわからない、7月27日・日曜日』。。。
 朝日小屋で唯一携帯電話の繋がるアルバイト部屋も、明日はお客様の為に明け渡しますし、多分「それどころじゃない」状態…何時になったら眠れるのかわからない、そんな日になりそうなので、27日はまた日記はお休みさせて頂きます。
 今シーズンに入ってすでに6件、何だか日記に事故の話しか書いていないようで、本当に複雑な心境。。。事故がありませんように。。。小屋の管理人からの、本当に切実な願いです。