北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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古崎分隊長が…

2002-09-22

夏のシーズン、朝日小屋名物「ラジオ体操」に参加している古崎分隊長
  いつもテンポが「ワン・ツー」くらいズレていて、みんなの人気者(!?)

 富山県警山岳警備隊員で、入善署配属の古崎富裕分隊長。この日記の中にも時々登場していただいていますが、「岳人」10月号に、とてもカッコ良く載っていたのをご覧になりましたか??
 141ページの「山道具」の特集記事で、富山県警山岳警備隊を取材した中の3人のうち、真ん中で一番足が長く写っているのが古崎さんです。本人曰く「合成写真じゃない?」というくらい足長に見えますが(笑)、朝日小屋では時々警備隊の制服姿でなく、自慢の「足」を強調したカッコいいスパッツ姿が見られることも…。
 いつかどこかで会われたら、声を掛けてあげてください。得意の照れ笑いが出るかも(笑)。
 いつもいつも頼りにしています、「朝日小屋の守り神」古崎分隊長でした。

霙(みぞれ)まじり

2002-09-23

冷たい雨の中、応援部隊も下山

 9月後半の連休、皆さんもどこかの山へ出掛けられましたか?
 秋晴れを期待していましたが、昨日の午後から空模様が怪しくなりました。そして今日の朝日岳、標高2,000m付近より上部では正午近くからしばらくの間、霙まじりの冷たい雨が断続的に降るあいにくのお天気となりました。
 そういえば、去年は同じ連休中の22日には白馬岳で初冠雪がありました。朝起きたら、白馬岳や雪倉岳が雪を被っていて、朝日平でも木道が白くなっているのに哲也と2人でビックリしたのを覚えています。
 水がとても冷たくなり、部屋の中ではストーブなしでは寒くて居られない程です。そして、雨の止み間にガスの切れ間からチラッと見えた朝日岳は、昨日より一段と色付いて来ています。
 秋は日毎に深まっていきます。

父の無念。。。母の想い。。。

2002-09-23

サラシナショウマの白   蓮華鉱山道にて    02.9.10

 先日、1組のご夫婦が朝日小屋においでになりました。

 受付で宿泊者名簿に記入して頂いて、お食事や入下山のルートについて等ひと通りのやり取りが終わった後に、ご夫婦からこんなお話がありました。
 「一昨年のテント場の受付簿は、まだこちらに保管してありますでしょうか?」
 「一昨年というと、私の父が亡くなった年で私は未だ他に勤めておりまして、小屋の事はアルバイトのみんなに任せていました。その年の諸々の帳簿や書類は私の家にまだ保管してあると思いますが、下山してみないとはっきりした事は分からないのですが…。どうかされたのですか?」
 「実は、私共の息子がその年山で亡くなりまして、この朝日平のテント場で直前に泊まっているものですから、もしかしたら息子が最後に書いた文字がこの目で見られるかと思いまして。。。」

 亡くなられた息子さんは、一昨年の秋、単独行で朝日平のテント場に1泊された翌日の下山途中に遭難、その次の日に物言わぬ姿で発見されたそうです。私も遭難の報告だけは聞いていましたが、まさかご両親が朝日小屋にお見えになられるとは。。。
 まだ30代前半だった最愛の息子さんを、山で失われたご両親のお気持ちを察すると、本当にひと言もありませんでした。
 私にはどんな言葉を掛けて差し上げられるはずもなく、ただ夕食と朝食の時に、「息子さんの分のお食事もご用意させて頂きましたので、どうぞ一緒のお席で召し上がってください」と、準備をさせて頂きました。
 翌朝は、息子さんが山行中に撮られた写真の中で、最後の一枚として残っている朝日小屋の写真を片手に「あの子は、どこ辺りからこれを撮ったのでしょう」と話しながら下山して行かれるお二人の姿を、涙で見送りました。

 お父様はおっしゃいました。
 「週末を利用しては山へ行っていましたが、会社の休みもなかなか取れず、本当なら天候も悪かったので、別の安全なルートで下山してくれていれば…そう思うこともあります。これ位なら大丈夫だと、自分の力を過信していたのかもしれません」
 お母様は話しておられました。
 「小さい頃のことばかり思い出します。。。毎日お墓にお参りして、好きなものを供えているんですよ」

 私の父が一昨年の6月に亡くなって、その年のちょうど3ヵ月後のことでした。
 28年間朝日小屋の管理人を務めた亡き父は、その昔、遭難者の亡骸を「朝日小屋に来ようと思って歩いていた登山者だ。俺が担ぐ!」と自ら背負ったそうです。
 もし父が生きていて、その息子さんに小屋の受付で会っていたら、「明日はどこのルートで下山するの?…雨が降っていたり天候が悪かったら、あのコースは止めた方がいいよ」。。。きっとそんな風に注意していたのではないだろうか、そう思うと私の心も痛みました。

 ご夫婦は、来年はぜひ、息子さんが最後に通った道を辿ってみたいと話しておられました。
 。。。もしどこの誰が忘れても、亡くなった子どものことを親はいつまでも忘れられるはずもありません。

哲也と孝太は“出張”に

2002-09-24

 紅葉したチングルマの葉…今朝の霜で、きれいに白く縁取りされて

 今日は私ひとりで留守番をしています。
 哲也と孝太は、お昼前から蓮華温泉へ下山しました。今シーズン末にむけて、また来年の事もありますので、登山道の点検と確認の為に作業をしながら下りて行きました。明日は、蓮華鉱山道から小屋に戻って来る予定です。
 今日はご予約がゼロでしたので、もしかしたら私だけの夜…と思っていましたら、2パーティ・3名のお客様。日中はウロウロと本を読んだり、やはり朝が早いのでストーブの横で少しうとうとしたり、ナンダカンダとボチボチ(笑)仕事をしました。
 
 今朝は全国的に、この秋一番の冷え込みだったとか。北海道の大雪山系旭岳でも初冠雪が観測されたと、夜のニュースで流れていました。
 朝日平でも、今朝4時に起きた時の気温は1℃だったのですが、夜明け前後にはグッと寒くなってマイナス1℃に…。もちろん白馬岳や雪倉岳の寒さは相当だったと思われます。霜が降りたのでしょう、かなり白く見えました。
 夜明け前から雲がピンク色に染まり始め、そのうちには空の青と霜が降りた白、そしてチングルマなどの草紅葉の赤や黄色…そんないろいろな色のコントラストが鮮やかな、冷え込みの厳しい朝日平の今朝の様子でした。

23日、白馬岳で初雪

2002-09-25

吹き上げのコル付近から、五輪尾根   02.9.24 photo by kouta

 今日白馬岳からおいでになったお客様が、「朝の白馬岳は、吹雪と言えるくらい荒れていましたヨ。今朝白馬山荘では、水道管が凍って水が出なくて大変でした!」と話していらっしゃいました。
 夕方白馬山荘に電話を入れて、フロント主任の奥田さんに確認したところによると、朝日岳で霙が降った同じ23日の午後1時頃から、白馬岳では初雪が降り出したそうです。積雪量は1cm程だったそうで、日中には融けてしまうのですが、それでも日陰になっている場所では残っている所もあるそうです。
 昨日は、朝日平でも朝方テント場の水場が凍っていたと、孝太が話していました。

 今日は、哲也と孝太が戻って来ました。
 昨日の夜、偶然てらちゃんから電話が掛かって来たので、「今日は私ひとり。哲也と孝太が私を置いて出て行っちゃった。。。」と冗談を言うと、「え〜っ、本当ですか?どうしちゃったんですか、ゆかりさん!?」と本気で心配されてしまいました(笑)。
 今日は、北又から飛び入りのお客様・Uさん(身内)が登って来てくれて…本人の希望により名前は伏せますが…、昨日の寂しい朝日小屋から一転賑やかになりました。
 そして明日は。。。ムムム。。。??
 では。

突然ですが、今度は私が…

2002-09-26

 うっすら雪を被った鉢ヶ岳  02.9.25 photo by kouta

 本当に突然ですが…今度は入れ替わりに私が“出張”に出掛けてきます。
 
 昨晩9時ごろ、日記を書きながら哲也や孝太と話をしていて、急に決まりました。私は昨年今年と白馬岳へ行って来ましたが、よく考えると2度とも朝日小屋から登らないで、白馬岳から下りるコースに使いました。紅葉の様子も知りたいし、今日はご予約もないことだし…。
 「登りの苦手な私」とすれば、できれば雪倉岳の登りは避けたい気持ちはあるのですが、やはり管理人としては、自分の足で登って来なければ。。。という思いで頑張ります!!
 今日のパートナーは、昨日北又から登って来てくれたUさん。彼女(女性です・笑)と一緒に、ゆっくりゆっくり歩いて来ます。
 哲也と孝太が帰って来たと思ったら、次の日から今度はゆかり!?…朝日小屋は相当ヒマなんだ、と思われるかもしれませんが(笑)、山小屋関係者にはこの時期しか動ける時がありません。しかもUさんという同行者がうまく見つかって、思い切って出掛けることにしました。
 明日の夕方まで留守にしますが、宜しくお願いします。

ただいまぁ〜〜!!

2002-09-28

 白馬山荘前で    02.9.27 photo by U
  左から 副支配人・井崎さん、私、
      フロント主任・奥田さん、客食主任・熊岡さん

 ただいまぁ〜〜!!
 白馬岳の往復山行から、昨日無事元気に戻って来ました。お陰さまで、2日間とも心配したお天気にも恵まれ、もう始まっている紅葉も堪能することができ、本当に実りある(笑)“出張”でした。
 親子ほど歳の離れている若い彼女・Uさんとの2人旅も、山歩きの話しアリ、進路や人生の相談アリ、恋愛相談アリ、よもやま話アリ(笑)…大きな自然に囲まれてゆっくりしながら、いろいろおしゃべりもしました。
 紅葉の様子ですが、まだ少し早目ではありますが、鉢ヶ岳の巻き道から見る蓮華鉱山道辺り、赤男山の斜面、そして朝日岳の蓮華温泉側斜面や水平道、どこも本当に綺麗でした。
 “登りが苦手”で「超・遅足」の私で、行きの朝日小屋〜白馬山荘が9時間、戻りの白馬山荘〜朝日小屋が8時間。両日とも、デジカメ写真をたっぷり撮りながら、昼食にはラーメンを作って食べる程の余裕がありました。しかし秋の空は変わりやすく天候の急変が心配でしたので、全体に休憩はなるべく短めに、もちろん荷物は1泊の小屋泊まりですのでかなり軽量でしたが。
 このコースの紅葉・黄葉は、やはりこの先9月末から10月の第1週が見頃だと思います。秋雨前線が心配ですが、静かな山を楽しみながらゆっくり歩きたい方には、絶対お薦めします!!

水平道の紅葉

2002-09-28

 「水平道」とは名ばかりで、かなりアップダウンのある朝日岳の巻き道ですが、坂道の途中でフーッツと大息をつきながら振り返れば、こんな見事な紅葉が目に鮮やかでした。