北アルプス 朝日小屋

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登って来ました、剱御前!…泊って来ました、剱御前小舎!

2002-05-09

 別山乗越に建つ、剱御前小舎  いい小舎でした!

 5月2〜5日の予定で室堂山荘へ行ったのですが、行く前から「出来たら、雄山か剱御前へ登ってみたいなぁ」と考えていました。しかし、「ついでに行かない方が良いと思います。結構春の山は大変ですから」というメールも頂いたりしていたので、半分諦めていました。でも本心は行ってみたいなあと密かに思っていたので、アイゼンや手袋などもそっとザックの中に忍ばせて行きました(笑)。
 4日まで忙しかった室堂山荘も、5日には宿泊のお客様が少しは減るというので妹に「ねえ、剱御前まで行ってみない?」と聞いてみました。「え〜っ、私が行くの??」という妹にオーナーの千尋さんは「行って来ればいいよ」と、サッサとアイゼンやスパッツ、ピッケルまで用意してくれました。しめしめ…(笑)
 5日の正午に室堂山荘を出発。梅さんなんかにはホンの「お散歩コース」なんでしょうが、いろいろ注意を聞くうちに「大丈夫かなぁ」と不安にもなりましたが、やっぱり二人で出掛けました。こんなオノボリサンのような事ではいけない、気を引き締めて登らなくっちゃ。。。何しろ、室堂山荘のオーナー夫人と朝日小屋の管理人なんだから(笑)
 途中雷鳥荘へ寄って、コーヒータイム。オーナーの志鷹定義さんのご厚意で広くて綺麗な館内も見せて頂きました。(実は雷鳥荘には私は昨秋に宿泊しているし、妹は20年前に1ヶ月間だけアルバイトしている)…やはり、こういう風にいろいろ勉強するのは大切ですから、二人で研修登山という事で、目指すは剱御前小舎。
 雷鳥沢のキャンプ場まで下って、もちろん未だ夏道は全く出ていませんから、そこからは殆ど直登に近い雪の斜面をひたすら登ります。かなりの急斜面です。春山でしかも午後からで雪が「クサッテ」いたのでアイゼンもなく登る事が出来ましたが、「これがもっと硬い雪だったら、かなりの恐怖心でこんな簡単には登れないね」と妹と話しながら歩きました。
 途中では、気持ち良さそうに降りて行くスキーヤーやボーダーを横目に、私たちも春の立山の景色を満喫しながら登る事が出来ました。立山三山の豪快な眺めをはじめ、遠く穂高岳や槍ヶ岳までも見る事が出来て本当に素晴らしかったです。
 剱御前小舎の直下でトラバースする箇所があるのですが、そこは注意するように言われていました。やはり見下ろすとかなりの傾斜で谷が深く長く切れ落ちていましたので、一歩一歩慎重に進みます。
 「やった〜ぁ、着いたぞ!」
 ちゃんと連絡が入っていたので、支配人の豊田さんご夫妻が待っていて下さいました。
 連休の混雑も一段落した剱御前小舎は山小屋らしい造りと雰囲気があり、ちょっと室堂から登って来ただけで、さすが剱岳を目前に立山縦走のお客様を迎える要の小屋だなあと思わせてくれました。
 若いけれども頼もしい山小屋責任者の豊田嘉英支配人と、奥様の未知子さん。そして今年のアルバイト・とても可愛いむこうやまさんとみつこさん、シェルパの二人、それから県警山岳警備隊の逞しい皆さんを囲んで楽しい夜はまたまた遅くまで更けていきました。
 翌6日は、前日よりももっと快晴。「帰りたくな〜い」の決まり文句を連発しながら、「室堂に帰るんだったら、雄山まで縦走して下った方がいいかも」という誘いに少し心が動きましたが、立山縦走は今秋か来春の楽しみに残しておいて、やはりおとなしく来た道を下山する事にしました。
 「サッサと降りるのはもったいない」と言いながらも、雪の急斜面はあっと言う間に下ってしまいました。雷鳥沢のテント場を過ぎ、もうひと登りする前に雷鳥沢ヒュッテの佐伯満寿男さんの所へちょっと寄り道。「上ってかれ!」の言葉に甘えて、お風呂に入れてもらいお昼ご飯までご馳走になって、その上「どうせターミナルまで行くから」というキャリーにも載せて頂いて、らくらくと室堂山荘まで無事帰着しました。
 少々「大名旅行」の観もありましたが(笑)、いろいろな山小屋を廻って勉強にもなり、また名峰・剱岳を目前に眺め、遠くには白馬岳を見る事もできて、本当に登って来て良かったと思いました。
 それにしても、朝陽に輝く剱岳の眺めの素晴らしかったこと。今度は剣沢の小屋も、剣山荘へも泊ってみたいなぁ…「勉強」と称して実は“ミーハー”ともいえる、この朝日小屋管理人の「山小屋行脚」への欲求はまだまだ続くようです(笑)。