次の記事
室堂〜剱沢〜仙人池〜阿曾原温泉
2005-09-03
剱沢雪渓、長次郎谷の出合いにて 05.8.31
しばらくの間留守にしていましたが、昨日の朝、無事自分の小屋に戻って来ました。
28日午後から下山し、29日は富山市内まで行き買出し、30日から「自分自身の、研修」として『山』に出掛けていました。
今回は一昨年の秋に断念した“仙人池ヒュッテ”のお母さんに会いに行くことが目的で、ナチュラリストで朝日小屋とは古くからのお付き合いのある渋谷 茂さんに、ガイドとして同行して頂きました。
本当は、10月に小屋閉めして下山後に行く予定にしていたのですが、仙人池ヒュッテの皆さんの下山日との関係でシーズン途中でお邪魔することになったのです。
お陰様で好天にも恵まれ、少しの間自分の山と小屋を離れて、リフレッシュもしてきましたし、それ以上にいろいろと勉強した山行きとなりました。
コースは、
30日(火) 昼過ぎに室堂発、剱沢小屋着(泊)
31日(水) 剱沢小屋発、仙人池ヒュッテ着(泊)
1日(木) 仙人池ヒュッテ発、阿曾原温泉小屋着、帰宅
山の空気をたっぷり吸って、英気を養ってきました。「山」を感じてきました。
心配した術後の体調も何のその(!)、そして人一倍遅い私の“足”も精一杯頑張ってくれて、山行は終始快調で、ちょっとした自信にもなりました。
山の中を歩いて、他の小屋に泊って。
いろいろ見て、感じて、考えることもあって。
また、頑張ろうと思いました。
“いい山旅”でした。
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2005/09/d20050903a.html
少しの間、小屋を離れて
2005-09-03
池に映る、朝焼けの裏剱 05.9.1
「山を下りても、また山なの!?」…と、よく言われます(微笑)。
仙人池ヒュッテのお母さんも、「一年に一回くらい、お客さんの苦労を味わわないと」というようなことを言っておられたそうです。(今は足が痛くて、入下山はヘリコプターらしいですけど)
シーズンが始まって小屋を開けて山に入ると、ナンダカンダと本当に忙しく、また“主”として大事な自分の小屋を空けるということは、自分の気持ちとしても実際問題としても、本当はあまりしたくはないのです。
でも、シーズン中ずっと小屋にいると、『小屋の都合』『小屋の側』『受付の中』からしか、いろいろなことが見られなくなる場合が生じるようで、諸々を考えたり気合を入れ直したりする機会も必要だと思う時があります。
大粒の汗を流して、喘ぎながら、疲れ果てて小屋に辿り着く登山者の皆さんの気持ちを、やっぱり忘れてはいけませんものね。
そして、「山を感じる」気持ちは一番大切にしたいものです。
アルバイトのみんなも頑張ってくれていたようですが、私が留守の間にいらっしゃったお客様には、ご迷惑や不都合がなかったか、ちょっと心配していましたが、如何でしたでしょうか。
今回は、日程的にかなり余裕のある行程でしたが、そんなことも、今後いろいろとお客様へのアドバイスの折に参考にしたいと考えています。
行って来て、本当に良かったデス。
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2005/09/d20050903b.html
『ご馳走』 と 『ご褒美』
2005-09-03
仙人池ヒュッテのお母さん・志鷹静代さんと 05.8.31
仙人池ヒュッテで静代母さんは、「この景色が何よりのご馳走だっちゃ!」と富山弁でお客さんに話し掛け、食堂の窓から見える裏剱の姿に目を細めていました。
どこから歩いても遠い仙人池への道のり。辿り着いた者にしか見られないその雄大な景色は、確かにどんなご馳走よりも、疲れた身体と心には有難いのかもしれません。
朝日小屋にお出でになるお客様に私が掛けて差し上げるのは、
「遠い道のりをようこそ。一生懸命歩いたからこそ、『頑張ったご褒美』として、たくさんの花たちが皆さんを出迎えてくれるのでしょう」
そんな言葉でしょうか。
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2005/09/d20050903c.html
あちこちの山小屋で、いろんな登山道を歩いて
2005-09-04
仙人温泉にて 05.9.1
室堂から入って、阿曾原温泉へ抜けるまで、2軒の山小屋に泊めてもらいました。何軒かの顔見知りの山小屋に、まるで“マーキング”のように立ち寄ってはご挨拶をして来ました(苦笑)。
それぞれの山小屋毎に、それぞれの特徴を生かして頑張って登山者の皆さんを迎えていらっしゃる姿が良く分かります。
規模の大きな山小屋、20人も泊れば満員になりそうな山小屋。
阿曾原温泉小屋などは、冬季間の雪崩の通り道になっているため、営業が終われば建物そのものを取り壊し、次のシーズン初めにまた建てるということを毎年している小屋です。
食料などが、2週間毎にヘリコプターで物輸されてくる山小屋もあって、今ではどこの山小屋でも、お客様にお出しするお食事にかなり気を配っている様子も伺えます。
天水に頼っている山小屋。沢から100メートル以上もポンプアップして貴重な水を確保している小屋もあります。
そして、登山道。
朝日小屋も、下は北又小屋からの登山道、白馬方面も鉢ヶ岳の向こうまで、そして朝日岳山頂直下まで、それぞれ長い道のりを、草刈りをしたり、登山道の補修に出掛けています。
しかし、今回歩いた「剱沢大雪渓」や「仙人新道」「二股の吊橋」そして「仙人池〜阿曾原温泉小屋まで」の登山道などは(もちろん“下の廊下”や“水平歩道”は言うまでもなく)、本当にその管理と補修に大変な人力と労力が掛かっていること、そしてその苦労が並大抵のものではないことを、同じ山小屋関係者として、また一登山者としても、痛感させられた山行となりました。
それぞれの関係者が、登山者の皆さんが快適に山旅を楽しめるよう、事故なく安全に登山が出来るよう、限られた中で、自然を思いやりながら、精一杯努力しています。
もし、少しでもそういった目で、それぞれの山や登山道や山小屋のことを見てもらえたら、仕事をする甲斐もあるし、またもっと頑張ろうという力が湧いてくると思います。
昨年朝日岳周辺で木道工事に携わってくれた工事関係者の若い衆が、二股の吊橋の架け替え工事に来ていて、一年ぶりに偶然に再会しました。
1ヶ月近く朝日小屋に泊って一緒に生活しましたから、とても懐かしく、また頑張っている姿を見て安心しました。
熱い心意気を持って、山の中でハードな仕事に精を出す若者たちの姿に、また元気をもらって来ました。
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2005/09/d20050904a.html
憧れ
2005-09-04
標高が1メートル高くなった、剱岳 05.8.31
一昨年の秋、初めて剱岳に登りました。
その時の日記にも長々書きましたが、私は一生剱岳とは縁がないと思っていました。私が登る山じゃないと、それまで勝手にそう思い込んでいました。
朝日岳しか知らず、まして落ちたら命がないかもしれない岩稜の山を登るなんて、大袈裟ではなく、それまでの私には考えられないことでした。
でも、剱岳に登ってみたら、「こんな山もあるんだぁ…」という想いが沸沸とこみ上げて来たから、不思議です。
今回剱岳登頂はなかったのですが、ずっとその山の姿を違った角度から眺めながら、「また登ってみたい」という想いがまた湧き上がって来ました。
剱沢大雪渓の迫力、平蔵谷や長次郎谷の雪の深さ、八ッ峰の雄々しさ、名前しか知らないチンネや大窓・小窓…。
いつか馬場島で見た、『試練と憧れ』の文字が浮かんできます。
こうやって岳人たちは、山への想いを強く強くしていったんだろうなぁと、山を見上げながら考えていました。
もう少し、若かったら…。
やってみたかも、登ってみたかもしれない…。
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2005/09/d20050904b.html
体調は?…大丈夫です!!
2005-09-04
三ノ窓雪渓 仙人新道から 05.8.31
何度も書いていますが、お陰様で体調も良く、山行中も大丈夫でした。
手術をして、それまで苦しんでいた「貧血」が改善されたからでしょうか、心臓にかなり負担がかかっていたであろう私の身体は、以前に比べて、山を歩いてもそれ程「悲鳴!」を上げることはありませんでした。
ナント表現したら良いのか、とにかく「ゼェイゼェイ」と身体の芯から喘ぐようなことが無くなりました。
「遅足」であることに変わりはありませんし、今回の渋谷さんの歩調はゆっくりゆっくりではありましたが、ペースを乱すことなく、急坂でも頑張って歩けるようになりました。
一日の行程は、それぞれ5時間程でしたが、ほとんどコースタイム通りに歩けたのには少しビックリ。
「受付の中の、ゆかり」は、元気です!!
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2005/09/d20050904c.html
朝日小屋でしか食べられない、「特製カレー!」
2005-09-05
美味しそうでしょ!? 昨日の昼食デス。
写真に写ったカレー、湯気が上がってちょっと美味しそうじゃありませんか!?
そう、朝日小屋でしか食べられない、「特製カレー」です。
その名は、『肉じゃがカレー』
山小屋は、ヘリコプターやボッカで全ての食糧を運んでいます。何かが足りなくなったからと言って、隣のスーパーへ走って買いに行くなんて出来ません。
現代の飽食の時代に生きている私たちですが、何もないとなれば、活かせるのは「知恵」だけ。まして、自分たちで担ぎ上げたとなれば、もったいなくてそうそうすぐに捨てられるものではありません。
朝日小屋では、シーズン最盛期には毎日「肉じゃが」を作っています。ジャガイモの皮を剥いて、ニンジンやゴボウを削って。
でも、今日一体何人がお泊まりになるか分からない状況では、少なく作ってあとから大慌てするのは出来れば避けたいので、やっぱり少しづつ多めに準備することになります。
そして、余った「肉じゃが」。いくら自慢の料理とはいえ、毎日毎日朝に晩に“従食”のメニューとして出てきたのでは、「…」です(苦笑)(時々週末などにやって来るお手伝いの皆さんには好評ですけど)。
そんなこんなで、たまに登場するのが、この“変身”した『肉じゃがカレー』なのです。
もちろん、お醤油の味がするので少し水に浸して塩分を抜き、早目に作ってカレーの味をしみ込ませて。
でも、結構「イケる味」になりますょ。
ゴボウやお豆腐の欠片が入っていることを除けばネ!
お客様の体調もいろいろで、「どうしても口に入らない」とおっしゃる方もお出でになりますが、なるべく残菜や残飯が出ないよう、小屋も頑張っています。
美味しく食べて、元気に次の目的地まで歩いて頂くのが、私たちの仕事ですから。
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2005/09/d20050905a.html
台風14号
2005-09-05
今朝の「雷鳥」 朝日神社の鳥居の前で
去年は散々苦しめられた台風。
今シーズンも夏の間にいくつか発生しましたが、幸いというか、北アルプスに大きな被害は未だありません。
しかし、今回の台風14号については全国的にかなりの影響が出ているようで、どうやら富山県地方も大きさ・進路と、かなりの打撃がある予報が出ていて、しっかり対策を立てなくてはいけないようです。
早目の準備をしようということで、実は今朝から「冬囲い」を全部済ませました。小屋閉め用の板を全部はめ込んだのです。
ところが、私がいつもパソコンを使っている3階のアルバイト部屋の外を囲う板を、シーズン中に新調しました。
今回、何年振りかに、かなり分厚い板に換えました。丁寧に、防腐剤の薬品まで塗ってあるし、多分板の厚みもあるからでしょう、とにかく電波が届きません。。。
いつもの場所でもなかなか上手く行かず、朝から何度か挑戦しながら、ちょっと焦りました。
ようやく繋がるポイントを見つけて、この日記を書いています。
上の写真の雷鳥、今朝小屋のすぐ横の朝日神社の鳥居の近くを、親子7羽でヒョコヒョコ歩いていました。
「雷の鳥」と呼ばれるだけに、どちらかというと、お天気が悪い時に現れることが多いようです。
関東地方が、雨の影響で大きな被害を受けたとか。皆さんの地方は如何でしょうか?
台風の影響、最小限だったらよいですね。
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2005/09/d20050905b.html