北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

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今日で、9月も終わり…!!

2001-09-30

 強い風に揺れるウラジロナナカマド

   … 紅葉した「赤」と、葉の裏の「白」のコントラスト

 今日で9月も終わり、当然明日からは10月…。あ〜ぁ……。

 「朝日小屋ショック」・「複雑な心境」・「帰りたくな〜い」、そして「越冬計画」ももはや今日まででしょうか、いくらのんびり屋の私でも、そろそろ「お尻に火」の状態が近づいて来たようです。そろそろ小屋閉めの準備を始めなくては…。

 しかし、哲也も私もその割りにまだウロウロするだけの毎日。口に出てくる言葉と、心の奥底に潜めているもの、そして肝心の仕事や行動が今ひとつバラバラのような気がします。私なんて、毎日大量のシーツを洗濯しながら、ふーっと溜息ばかり…。(発電機の回っている時間帯だけしか洗濯機が動かないから、なかなかはかどらない!)

 とは言っても、明日からは確実に下山の日が近づくのですから、頑張らなくては…。今もグリーンパトロールをしてくれたジッキーからTEL。今年のバイトのみんなが連絡を取り合って大集合するらしい。その他にも、新米管理人を心配して小屋閉めを手伝ってくださる面々が連休には登ってきて下さいます。どうやら、今年最後のお祭り騒ぎになりそうです(笑)。

 6月12日に小屋開けしてから、今日で3ヶ月と18日。多分10月12日頃の下山になると思うので、残りあと12日間…。何より、どうか最後の最後まで事故が無く、無事に冬囲いが出来ますように…。

「ゆっくりゆっくり」・・・

2001-10-01

 朝日平から眺める山々と月   2001.9.28

 今宵10月1日は「十五夜」だとか。しかし朝から生憎の雨降りで、どうやら深まる秋の月は残念ながら見られそうにありません。写真の月は「十○夜」位でしょうか?

 小さい時から朝日岳に登っていますが、もちろん今年は「新米管理人」として今までとは違った想いを持って山道を歩きました。私の中では朝日岳と朝日小屋に対する想いは、変わらないものもあれば、深く静かに形を変えていった想いもあります。

 そんな中、『山を歩くこと』について自分なりに「きっと、これかもしれない…」と確信に似た気持ちを抱く事が出来たように思います。

 8月16日、写真家の増村征夫さんとその友人の方と「照葉の池」までご一緒したのですが、その時間と道のりが本当に楽しかったのです。花の写真がご専門の増村さんですから、その解説やおしゃべりもとても素敵だったのですが、とにかく「ゆっくりゆっくり」歩く…。時間は倍ほどかかるのですが、歩くことそのものはもちろん苦になりませんし、花や山並みをゆっくり眺めながら、風や雲や空を感じる…。「山を歩くって、こんなに楽しいんだ!」「こんな歩き方なら、私もできる」…そんな風に思いました。

 写真家の森下恭さんと縦走した時にも、同じように感じました。「私強くないから、ゆっくりしか歩けません。ゆっくり歩いてください!」…立ち止まってはふーっと深呼吸し、また立ち止まっては山を眺め、花の名前を聞き、デジカメを取り出し、…そんな「ゆっくりゆっくり」の道のりは、増村さんと歩いた時と同じでいろいろなものが目に留まり、心にひびくものがありました。

 雨降りの中を歩くのは嫌いではないのですが、9月10日に北又から入山した時にも、雨に濡れた花や樹木がいっそう綺麗でいつもとは違った発見があり、心が洗われるようでした。

 「ゆっくりゆっくり」…そんな山歩きがいいなぁ。そして、朝日岳はそんな山歩きがとても似合う山だと思います。

私が初めて朝日岳に登った頃のこと

2001-10-02

 濃いガスの中で、滴をつけた「ミネウスユキソウ」  2001.9.19

 昨日も今日も朝から強風が吹き、雨が激しく叩きつけました。やっぱりお客様はゼロ…。寂しく哲也と二人、ウロウロしています。寒くて暗くて、動きもいつも以上に(笑)鈍くなっています。あらあら…。

 今日は私が初めて朝日岳に登った頃のことを書きましょう。

 私が父に連れられて最初にこの山へ来たのは、小学校3年。当時は、小学校の子どもが朝日岳に登るのはかなり珍しかったようです。

 6月下旬の山開きでした。でも山開き登山会の一行とは別に、土曜日の午後から、私の学校が終ってから登り始めました。恵振山まではズック、残雪のある夕日ヶ原からはキャラバンに履き替えて。

 途中からどっぷり暮れた山道を子ども心にどんな気持ちで歩いたのでしょうか。心配した関係者の方が迎えに来てくださったのを、今でもはっきり覚えています。藤田さんと吉江さんでした。「ここは俺達にとっては、庭みたいなもんだ!!」…その言葉をとても羨ましく、頼もしく聞いた私でした。

 当時の写真が残っていますが、かなり雪の残る夕日ヶ原で父の担いだキスリングの、そのまだ上に乗っている私がいます。

 それからは毎年山開きに参加。最初は私だけだったのですが、いつか父は4人の娘全員を連れて登るようになりました。山開きでは参加者の皆さんにとても可愛がってもらいました。夕日ヶ原での楽しみといえば、ピッケルですくった雪と小豆の缶詰、そして練乳で作ってもらった「カキ氷・ミルク金時」…美味しくて、大好きでした。

 あの頃は大人の皆さんから「何年生??強いねぇ!」と言われるのが嬉しくて、あの辛い恵振山の坂なんて全然苦にならなかった(笑)

 大蓮華山保勝会の皆さんに花の名前を教えてもらったのもこの頃。そして山の歌も…。山開きではキャンドルサービスに感激した思い出や、「一番若くてかわいいから」と(笑)、女神様役になってキャンドルを点火する大役を担ってドキドキした記憶も鮮明に残っています。

 あれからもう30年以上が経ちました。まさか私がこの朝日小屋の管理人になろうとは、当時の皆さん誰一人として想像しなかったでしょうね…。

今年の紅葉

2001-10-03

  水平道の紅葉と雪倉岳

 9月の中・下旬から最近にかけても、紅葉についてのお問合せのお電話をよく頂きます。「今年の紅葉はどうでしょうか??」…正直言って、新米管理人としては何とも答えに困る質問です。そうかと言って、適当に返事をする訳にはいきませんから、なるべく丁寧に見たままをお伝えするのですが、紅葉もお天気次第なので、どう変化していくのか何とも予測がつきません。

 8月末日頃に一度かなり冷え込んだことがあり、今年は寒さが早いのではないかと予想され、それに伴い紅葉も例年より早く訪れるのではないかと思われました。しかし、その後一気に冷え込む気配はありませんでした。

 そして9月に入り、中旬にはかなりぐずついた天候が続いたこともあって今年の紅葉はあまり期待出来ないのではないかと思われ、色付く前に枯れていったナナカマドなどが見受けられました。が、昨日と今日では色の深まり方がまた違っているということが良くあります。

 強風と雨にたたられたこの2日間ですっかり落葉しているかと思われた朝日岳の中腹も、遠目に見ても今日はまだ綺麗に黄色や赤の色が鮮やかでした。そんなに悪くもないかなぁと思わせるように賑わっています。

 蓮華温泉方面の五輪の森、五輪尾根から見た雪倉岳や朝日岳、また北又・恵振山方面もこれから連休にかけてが見頃だということです。

 ただし、確かに赤や黄色の鮮やかな紅葉は綺麗なのですが、「素晴らしく鮮やかな紅葉」というのは決して毎年楽しめるわけではないのです。だからこそ「今年は…」と期待をしていらっしゃるのだと思いますが、出来れば色の良し悪しだけを見るのではなく、その年その年、その山その山の、木々や高山植物たちの冬支度と夏に向けての準備の様子を、確かめるようにそしていとおしむように眺めてやってもらえたらと思います。

 先日新潟大の平先生と歩いた時には、ハクサンコザクラが小さな種を持っている様子を解説して頂いて、新鮮な驚きで胸がいっぱいになりました。同じ山を歩いていても、何かを少しづつ感じられるようになれば、またきっと楽しいかもしれませんね。