北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
 TEL & FAX 0765-83-2318

前の記事 次の記事

最強の下山部隊(!?)でした…有り難う!!

2001-10-15

今年はヘリコプターを使わずに、「逆ボッカ」で荷物を下げてもらいました。かなり重くキツイ仕事でしたが、みんな頑張ってくれました。本当に有り難うございました。

 最強の、「逆ボッカ」・下山部隊は左から

   カズキ・孝太・梅さん・哲也・森下さん・ジッキー

 小屋閉めの最後まで撮影して下さったチューリップテレビの西山さん・三国谷さん・尾島さんも一緒でした。

「幻の大桂」を見に・・・

2001-10-17

幹の前で大きく手を広げている私、わかりますか?? photo by nyama

 亡き父が、大きな大きな樹の前で両手を広げている写真があります。その樹が「幻の大桂」…私も同じ樹の前で、父と同じポーズを取ってみました。

 14日、大蓮華山保勝会の行事として「幻の大桂」の探勝会が行われ、新米管理人も参加して来ました。

 富山県内最大級といわれる桂の巨木は、黒部川支流の黒薙川上流部にあります。北又小屋から水量も多い黒薙川を何度も徒渉し、歩くこと約3時間。それも道無き道を、ルートを判った保勝会のメンバーに案内され最短距離を通っての事で、ひとつ沢や尾根を間違えれば一晩帰れないという奥深い場所にありました。

 …「幻の大桂」は、幹廻りが約14.1M、樹高は約35Mあり、樹齢は500年から800年と推定されているそうです。江戸時代には、黒部一帯を領地にしていた加賀藩が「奥山廻り」により、盗伐や密猟者を監視していたとされていますが、その様子を記した文久3年(1863年)の「下奥山日記」には、「杉谷大桂の木の下で昼食をとり」というくだりがあり、当時からこの巨木が見回りルートの重要な目印だったらしい事が伺えます。(以上、H6.12.5付け・朝日新聞よりの抜粋を含む)

 他の方々と一緒に私の父がその巨木を見つけたのは、かなり以前だったようです。父は、山菜採りやきのこ採りに長けており、結構他の人が行かない(行けない)場所へもよく足を運び、春にはゼンマイや秋にはなめこを採って山を歩くのが大好きでした。そんな父がこの樹を見つけた時の気持ちはどんなだったのでしょうか。

 「ゆかり、お前、オヤジと親子2代でこの大桂を見たなあ…」とは、小さい頃から私を知っている保勝会のメンバーの方の言葉。

 なかなか人の踏み込めない奥山で、何百年も静かに息づいて来た「幻の大桂」。朝日岳周辺の自然の豊かさと奥深さに、またも魅せられた新米管理人でした。

へっぴり腰で徒渉中!

2001-10-17

深い所では、お尻までが水の中。

 太腿まで川に浸かり、かなり四苦八苦(笑) photo by yomojii

 何しろ、12日の小屋閉めでは下山が夜遅くなってヘッドランプを点けての行動だったし、その夜の打ち上げの疲れも重なり、14日にはまだかなりダメージが残っていました。

 その上、生まれて初めての徒渉で、本当に…ヘロヘロ!!

 何度川を渡ったことやら。川から上がるたびに身体がフラフラして、終いには何キロも遠泳したみたいに。そして一緒に行ったメンバーといえば、熊のような仙人のような「山男」ばかり。(失礼、「週末従業員」の由紀子さんも参加)もう途中で「帰ろうかしら」と思ったような、そんな山歩きでした(笑)

 でも、行って見て来て本当に良かった!!

突然ですが…また「出張」に行って来ます!!

2001-10-18

下山の日、夕暮れ近くに8合目から見た富山平野と富山湾

         「帰るんだ…」という気持ちで眺めていました

 突然ですが、「出張」に行って来ます(笑)。といっても、もちろん遊び心が旺盛で、急に思い立ったのです。…太郎平小屋まで。もし天候と時間が許せば、薬師岳の頂上も往復したいなとは思っていますが。

 なかなかこの時期になると営業している山小屋が少なくなってきています。11月には立山の妹の小屋に行ってくるつもりでいますが、雪が降る前にまだもう少し歩いてみたいなぁと考えていました。今週末と来週末もどこかへ行く予定でいますが、でも平日に一人で行くとなるとどこにしようかと迷いましたが、高校生か大学生の時に一度知合いの方に太郎平小屋へ連れて行ってもらった事があって、折立からの道は記憶にあるので、もう一度登ってみようと思いました。

 あの時は子ども心にも、高天ヶ原の静けさとなんともいえない素敵な雰囲気がとても印象に残っています。

 そろそろ小屋閉めが近づいた太郎平小屋で、またまた登山者の皆さんの気持ちになって来ます。…平日に急に思い立って山を歩くなんて、かなり贅沢だと思いますが、これも仕事(!?)、許してください(笑)また帰ってからの報告をお楽しみに。では。

チューリップテレビで・・・

2001-10-18

  小屋閉めの12日、最後に発電機室の板をはめ込む梅さん

 チューリップテレビの皆さんが、今シーズンの小屋閉めの様子を取材に来ていらっしゃいましたが、その模様が「とりあえず(?)」放送されるそうです。…「とりあえず(?)」というのは、この後も何か考えていらっしゃるそうなので、ということらしい。

 放送日は、19日(金)夕方6:20〜の「ニュースの森 とやま」の中で。約5分間程の放送予定だそうです。地元富山県の方しか見る事が出来ませんが、もしお時間が許せばチャンネルを合わせて下さい。

 ナンだかまたまた朝日小屋のドタバタした様子が放映されると思うと、かなり戦々恐々の私です(笑)。

最高の山行!…太郎平小屋・太郎山・北ノ俣岳

2001-10-20

   太郎平小屋のスタッフの皆さんと   photo by yosiyasu

 素晴らしいお天気に恵まれ、本当に最高の山行(「出張」?)になりました。

 18日〜19日と、一泊で折立から太郎平小屋まで行って来ました。残念ながら、ぜひゆっくりお話したかったオーナーの五十嶋さんにはお会い出来ませんでしたが(5月にご挨拶には行って来ましたが)、ゆっくり流れる時間の中に自分を置いていろいろなことを想い、考えてきました。

 折立から三角点までの道は、深まる秋に樹木の葉が落ち、少し曇った空が明るく感じられるほどでした。急坂とはいえ、樹林帯の中の階段状の登山道は、やはり北又からの恵振山の急登の方がはるかにきつく、ゆっくり歩く私にはとてもやさしい登りでした。

 三角点を過ぎると視界も開け、石畳の道を珍しく感じながらとにかくゆっくりゆっくり。左手に剣岳や立山の山並み、そして薬師岳をずっと見ながら。朝日岳からははるか遠くにしか見えない白山が、右手に大きく望む事が出来ます。途中行き交う登山者の方は一人もいない。

 相変わらずゆっくりそこここで立ち止まってデジカメで写真を撮りながら、そして昼食とお昼寝付きでしたが、それでも約4時間半で太郎平小屋に到着。ただ、残念ながら午後1時近くだったので無理をして薬師岳の山頂を目指すことは諦め、小屋でゴロゴロしてしまいました。(何しろ前日の睡眠が2時間だったので。「登山者失格」ですね…笑)

 夕陽と雲海も最高! …朝日岳とはまた一味違うスケールの大きさ、そして夕陽に輝く薬師岳の勇姿も堪能しました。

 ナンと、平日だった為か、とびきりのいいお天気だったのにお客様は他に誰もいらっしゃらなくて、私一人!…淋しいというか、もったいないというか、贅沢というか…(笑)。スタッフの皆さんとお喋りしながらの夕食、そしてトランプゲーム大会。最高の待遇でした。皆さん有り難う!!

 日中あまりにゆっくりしたからか、なかなか寝付けず、真夜中に起き出すと満天の星空…、本当に素晴らしかった!!朝日小屋からの星空もそれは素敵なのですが、太郎平からのあの星空は、う〜ん、ナンとも言えず、ひとり占めするのが申し訳ないくらいでした。

 翌朝は、5時半に小屋を出て北ノ俣岳まで往復。本当は薬師岳へ登りたかったのですが、午後から二女と富山市内で待ち合わせをしていた為、どうしてもお昼過ぎには折立へ下山する必要があり、やっぱり薬師岳登頂は断念。まぁ、山は逃げていかないので、また来年かな…。

 霜柱がザクザク音を立てる朝の道。寒かったのですが、景色も気分もスッキリと最高。朝焼けの山々、淡いピンク色の白山…。北ノ俣岳は360°の眺望が素晴らしく、朝陽に輝く山並みに一人感嘆の声を上げつつ、寒さを堪えてずっと佇んでいました。

 「帰りたくな〜い!」をここでも連発。「もう一泊いかがですか?」のスタッフの皆さんのお誘いに、後ろ髪をいっぱい引かれつつも、時間ギリギリになってやっと下山開始。

 前日には雲海の下で見えなかった有峰湖が湖面をキラキラ輝かせていましたし、紅葉の山々も素晴らしく、私の大好きな樹林帯の道を一人で楽しみながら下りて来ました。

 実は、薬師岳の山開きにぜひ来ませんか?と、夏山シーズンが始まる前に薬師岳山荘の堀井よし子さんからお誘いを受けていたのですが、朝日岳の山開きの一週間前で、もう私も山へ入らなくてはいけなかったので、残念ながら諦めていたのです。でも来年からは、朝日小屋を閉めて下りてきたら必ず「太郎へ行こう」と思いました。出来たら、足を伸ばして他の山も訪ねてみたいな…。

 遊んでいるように見えるでしょ!?…遊んでいるんですよ、本当に(笑)。でも、私なりにいっぱいいっぱい考えていたりして…。新米管理人は身体はもちろん、気持ちも心も頭の中も整理しているんです。来年のエネルギーをたくさん蓄えて、頑張れるように。

 この後もいろいろ予定を立てています。あまりここで書くと羨望の的になるから止めておきます(笑)。でも、山に雪が降るまで…もう少しだけ、ほんの少しの時間、山の中に居たいので。