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今日から私は、また山へ…
2002-10-28
山頂で約5センチ程の積雪、薬師岳 02.10.22 photo by kouta
先週の研修登山を途中で切り上げた私、雪が積もって行けなくなるまで、まだ少し北アルプスを歩いてみようと思い、今日から出掛けます。
(多分)上高地から徳本峠(とくごうとうげ)へ。
今週はかなりお天気が悪そうなので、高山ではかなりの積雪があるかもしれませんネ。本当は涸沢まで登りたかったのですが、どうも私の技術や体力では今の時期無理は出来ないので、天候次第でコースが変更になるかもしれません。
独りではやっぱり「無謀」なので(笑)、今回も写真家の森下 恭さんにガイドをお願いしました。朝日小屋の小屋閉めからずっと無理をして頂いているので心苦しいのですが、「お世話になっているので」と言いながら承知して頂きました。(シブシブ!?)
雪(もしかしたら吹雪)の山行も経験かも。。。
また帰って来たらご報告します。では行って来ます!!
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2002/10/d20021028b.html
“真冬”の上高地から、青空の広がる徳本峠へ
2002-11-01
出発の朝、上高地西糸屋山荘前にて
02.10.29 photo by 藤林支配人
〈その1〉… “真冬”のような上高地
昨日、無事山から帰って来ました!!
初めて訪れた上高地でしたが、冬型の気圧配置の影響で、10月28日は松本で観測史上最も早い初雪の観測となり、上高地も冬景色でした。
28日(月)は、お昼近くに安曇村役場にて森下さんと合流し上高地へ入ったのですが、10月末とは思えない突然のしかも予想を越える降雪に、上高地へ通じる道路は大混雑。ノーマルタイヤでスリップする車もあり、またすれ違いに時間が掛かりかなりの渋滞でしたので、上高地の中心部へ入ったのは午後の3時も過ぎていました。
28日は出来れば徳本峠小屋まで行きたかったのですが、そんなわけで予定を変更し、急遽「上高地西糸屋山荘」さんに泊まることになりました。
西糸屋山荘のオーナー・奥原 宰さんとは昨年、3県山小屋協会総会の折にお会いしてお話をし、また森下さんも知っていらっしゃるということで「上高地へ行ったら、西糸屋へ泊まったらいいですよ」と言われていましたから、そちらに宿をとることになりました。
気持ち良くお風呂に浸かって、美味しいお夕食を戴いてゆっくり出来たのですが、次の日からの天候が心配。それでも宿の談話室で穂高岳や槍ヶ岳周辺を紹介したビデオを観賞したり、テレビでは長野放送が燕山荘の赤沼さんを取り上げた1時間番組をやっていましたので、それを見ながら「まあ、吹雪でも行くんだろうなぁ。。。」などとゆったり構える事にしました。
ピューピューと風の音が凄かったので時々窓の外を覗いていましたが、夜通し横殴りの強い風が止み間なく吹いていました。
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2002/11/d20021101a.html
徳本峠
2002-11-02
徳本峠への道、トップでラッセルをする森下さん 02.10.29
〈その2〉…上高地から徳本峠小屋へ
10月29日(火)朝の上高地は冬景色、一晩で約20センチ程は積もったでしょうか。10月末の突然の降雪に、上高地へ通じる幹線道路は除雪が追いつかず、バスも遅延しているとか。私達は曇天の寒空を眺めながらも、午後から回復しそうな兆しに出発準備を急ぎました。
9時を過ぎて西糸屋山荘を出発。上高地が初めての私は、「へぇ、これが河童橋!?森下さん、写真を撮ってください!」と少々観光気分に浸りながら(笑)、小梨平キャンプ場の横を抜け梓川に沿って明神館まで、雪を踏みしめながら歩きました。途中、まだ黄葉のきれいなカラマツ林の上には真っ白な雪が降り積もり、薄く射し込む朝の陽の中で幻想的な雰囲気。
明神館横で休憩。「穂高神社奥宮」と書かれた石碑にも雪が被っていました。すれ違った数組の観光客の方から、「何処へおいでになるんですか?」と声を掛けられながら徳本峠入口へと向かいます。
白沢沿いの林道を抜け、黒沢と合流して登山道へ。この辺りになると後方には雪の付いた明神岳の岩肌が山頂付近まで見えて来ました。
しかし同時に、徐々に雪も深くなっていきます。林道ではそれ程でもなかったのですが、標高が高くなるにつれて雪は森下さんの膝すぐ下辺りまで、吹き溜りでは膝上。森下さんと身長で約20センチも違う私では、雪は常に膝上以上…。
黙々とラッセルする森下さん。通い慣れた道なのでしょう、そのトレースは夏道に沿って確実で、また常に歩幅など気を遣って下さいましたので、「冬山・超初心者」の私でも大丈夫でした。しかし、いきなり雪の量が多くなったと思ったら太腿まで潜る私、ちょっと気を抜くと置いて行かれそうになったり(笑)。
それでも奮闘の甲斐あって(えっ、大奮闘したのは森下さん?)、明神館から4時間程で無事徳本峠小屋に到着することが出来ました。
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2002/11/d20021102a.html
徳本峠小屋
2002-11-03
管理人の今川剛之さんと 02.10.31 photo by morishita
〈その3〉…行きたかった、徳本峠小屋
徳本峠小屋では、管理人の今川剛之さんが雪掻きの手を休めて温かく迎えて下さいました。
今回の徳本峠行き、実は朝日小屋の小屋閉め前から必ず行こうと計画していました。管理人の今川さんとは、昨年私が小屋番になってから3県山小屋協会の総会等で何度かお会いし、その度に「清水さん、ぜひ徳本へ遊びに来てくださいヨ!」と声を掛けて頂いていました。徳本峠小屋は11月4日まで営業していると聞いていましたし、標高も朝日小屋と同じ程で何とか私独りでも行けるかもしれないと考えていました。
今回も一緒に歩いて頂いた写真家の森下 恭さん、実は30年程前に1シーズン徳本峠小屋の小屋番をしたことがあるとか。何とか独りで行けないかと地図を広げながらいろいろ考えている私を、朝日小屋に居る時から横目で静かに眺めていらっしゃったのですが、さすがに10月20日過ぎから北アルプス一帯で降り始めた雪では私独りでは行けないということでお願いしたところ、同行を決めて下さいました。
お陰で深雪の中でも無事辿り着くことが出来て、念願叶って2泊も出来た徳本峠小屋。今川さんはじめ男性陣は思いがけない降雪と小屋閉め準備で外仕事に忙しく、私は食事の準備など少し台所のお手伝いなどをさせて頂きました。そして夜は、今川さんやアルバイトの小野田君、サッちゃん、そして常連さんたちと、炬燵を囲んで美味しいお酒とご馳走で遅くまでお話をしました。「今川さん、安曇節を聞かせてください!」とお願いしたら、自慢のノドも披露してくださいました。
徳本峠小屋は、電気がなくランプの灯かりを燈し、また水も充分ではありません。収容人員も30人で溢れるほどの、昔ながらの姿を残す素朴な小屋です。
…私はそんな小屋へ行ってみたかった。
発電機を回し、溢れるほど充分な水を毎日使っている朝日小屋ですが、まだまだ管理人として未熟な私自身の抱える命題 −山小屋とは、山小屋のあるべき姿、どんな朝日小屋にしたいか、登山者の皆さんの気持ちは− そんなことをいつも考えています。だから徳本峠小屋へもぜひ行ってみたかったのです。
本当はお天気が良かったら涸沢へも行きたかったし、出来れば徳本峠へも島々からの道を歩いてみたかったのですが、それはこの次の楽しみに残しておくことに(笑)。
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2002/11/d20021103a.html
「山」を知りたくて…
2002-11-03
青空に聳える、正面に前穂高岳そして左に奥穂高岳
02.10.30 通称“スタジオ・ジャンクション”から
〈その4〉…「山」
…ホンの少しでも、「山」の厳しさの洗礼を受けてみたかった。
…ホンの少しでも、「山」を愉しみたかった。
初めて行った上高地
西糸屋山荘の暗闇の中で聞いた、風の音
梓川の清流
地図や文学の中でしか知らなかった、地名や小屋の名前
腰以上胸近くまでの雪の中を、黙々と続くラッセル
峠の樹々の間から仰いだ、満天の星空
そして。。。新雪が付いた神々しいほどの岩稜の穂高連峰
…「山」はいいです。
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2002/11/d20021103b.html
黙々と…
2002-11-04
徳本峠へと向かう私 02.10.29 photo by morishita
〈その5〉…ラッセル
10月29日は、徳本峠へ向かう道をずっと森下さんがトップでラッセル。その足運びはリズミカルに同じ歩幅で刻まれ、その足跡はずっと規則正しく続いていました。私はその後を黙って付いて行けば良かったのです。
「少し行って来ますか?」
翌30日は、朝から抜けるような青空がとても気持ち良い日で、森下さんに誘われて出発準備を始めました。目的地は霞沢岳の途中にある見晴し台、通称“スタジオ・ジャンクション”。
「先頭、歩いてみますか?」
前日にかなり楽をさせてもらったので今日は私も少し頑張らなくては、そんな気持ちでトップを歩くことにしたのですが。。。(少々意地もあった!?)
樹林帯の中で高度が上がるにつれて、雪は私の腰以上、急斜面に向かい合って深い所では胸下まで来ることもありました。もちろん一歩踏み出しても、私の足はその高さまでは届きません。
前日森下さんの後ろを黙って歩きながら観察し見ていた通りに(前日は余裕だった!)、私もやってみました。…足が届かなければ胸や膝で雪を押し崩す、ちゃんと右左と足で雪を固める、グッと自分の身体を押し上げる、慌てないでペースを崩さずに…
「どうです?…頭の中が空っぽになったでしょう!?」
う〜ん、どうかなぁ。。。いろいろ考えることが多くて(笑)。
「ゆかりさんのラッセルは、まるで“ラッセル車”みたいですね」
上手だと褒められたのかと思ったら、むやみに雪を蹴散らしている様子がそんな風に見えたのだとか、あらあら(笑)。
でも自分では何もしないで後ろから見ているだけだと、その苦しさや辛さが自分のものにならず、何もわからずもっと楽に見えたトップでしたが、実際自分でやってみると、先頭を歩くということがどんなに大変なことかという事が良く分かりました。
生まれて初めてのトップでのラッセル。。。いろいろ勉強になりました!!
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2002/11/d20021104a.html
最高の眺め
2002-11-04
穂高連峰、そして常念山脈の山々も雪を被って
02.10.30 “スタジオ・ジャンクション”から
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2002/11/d20021104b.html
明神岳
2002-11-04
下山日の31日、明神橋から見た明神岳 後ろ姿は森下さん
この記事の URL : http://www.asahigoya.net/diary/2002/11/d20021104c.html