北アルプス 朝日小屋

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『雪倉岳避難小屋』の利用についてのお願い

2003-08-04

雪倉岳避難小屋のトイレ・新品の便器    03.7.31

 雪倉岳避難小屋のトイレ・新品の便器    03.7.31

   
 先日、哲也とひとほが鉢ヶ岳まで作業に行った時に、雪倉岳避難小屋のトイレの便器を新しい物と交換して来ました。利用される方々には、くれぐれもキレイに使って頂くことをお願いいたします。
 
 さて、雪倉岳避難小屋の利用について登山者の皆さんにお願いいたします。
 
 この避難小屋は、建てたのも所有しているのも富山県であり、私(朝日小屋管理人)がその管理を委託されているものです。その昔には、アルバイトの学生を交代で“派遣”していたこともあります。
 そこでこの建物の利用についてですが、もちろん公の建物で避難小屋ですから、登山者の皆さんには有効に活用していただく事を希望します。実際、白馬岳〜雪倉岳〜朝日岳の長い縦走路の途中に、あのような避難小屋があることは、登山者の皆さんにとっては誠に有り難いことだと思いますし、万が一の緊急避難の場合には大変心強いのではないかと思っています。
 雪倉岳避難小屋は、その宿泊についての利用目的としては『あくまで、緊急避難用の建物である』ことを強調しています。
 一方で近年この建物を、『初めから、簡易宿泊所として利用する目的で泊まる。あるいは、初めからその予定で山行計画を立案する』登山者の方がいらっしゃる事を耳にします。時々電話でのお問い合わせを頂くこともあります。
 しかし、ご存知の方も多いと思いますが、雪倉岳避難小屋はそれ程大きな建物ではありません。入口に1畳程の土間があって、半畳程度のトイレがすぐ奥にあります。勿論、小屋の中に水場はありません。寝泊りできる場所としては板の間が2つありますが、それ程広いとはいえません。
 その狭い避難小屋を、初めから宿泊施設として利用する目的でいらっしゃる方達が数パーティーもいたとして、もしもの場合に緊急避難してきた登山者の皆さんと一緒になった時には、狭い小屋の中が混雑し大変なことになるのは明らかです。
 
 また私が一番懸念するのは、避難小屋を初めから利用する目的の方々の山行計画です。
 中部山岳国立公園内及びその周辺地域においては、各利用に当たっての厳しい制限がされていることは皆さん周知のことですが、特にキャンプは、指定されたテント場以外での「指定地外幕営」を厳禁しています。
 それは、貴重な高山植物をはじめとする「自然の保護」を目的としてはっきりと定められています。
 しかし、どうも雪倉岳避難小屋を初めから宿泊予定地として行動されている方々の中には、指定地外での幕営を“平気”“許される”と思っていらっしゃる方もいるのではないかと思われるような節が時々あります。
 例えば、白馬連山を縦走し栂海新道で親不知までを貫ける場合、村営天狗山荘付近で幕営した場合、次は白馬岳のキャンプ場ではなく雪倉岳避難小屋泊まり。するとその次は、時間的にも短いので朝日小屋のテント場まで降りて来なくても、そのまま朝日岳山頂を通過して黒岩平付近での「指定地外幕営」となります。
 栂海新道の黒岩平付近はもちろんのこと、白馬岳・雪倉岳・朝日岳周辺には、大変貴重な高山植物が何処と言うことなく一帯に残っていますので、「指定地外幕営」はくれぐれも厳禁です。
 
 また時々お問い合わせの中で、「白馬岳から朝日小屋は長いでしょ!?だから途中で泊まりたいと思って計画しているんだけど…」というようなお話もあります。
 しかし、“1泊2食お弁当付き”の小屋泊まりのお客様が、行程が長いというだけの理由で避難小屋に宿泊される場合、シュラフの他にも、ガスやコッヘルなどの燃料や道具、食料等など、一式を担いで行動するというのは初めから無理ではないでしょうか。
 それなら、夜明けと共に行動し、コースタイムの1.5倍位の行動時間をみていらっしゃるのが賢明だと思います。それでも白馬岳を早朝5時前に出発すれば、皆さん(遅くとも)大体3時過ぎ〜夕方4時には朝日小屋に到着されているのですから。
 
 また、雪倉岳避難小屋の前及びその付近では、幕営は禁止されています。ですから、「小屋が人でいっぱいだったから、その前でテントを張りました」ということが無いよう、重ねて「初めから宿泊場所として予定する」ということがありませんよう、よろしくお願いいたします。

 最近の山岳雑誌の中で、「避難小屋利用で、快適な山歩きを」というような記事を見かけて、雑誌社の方に“文句”を言ったことがあります(苦笑)。 
 ハイシーズンの山小屋での超混雑を避けたいのは、誰だって同じです。でも、避難小屋はあくまで緊急避難用として利用されるよう、お願いいたします。
 朝日小屋から雪倉岳避難小屋は遠いので、頻繁に行って清掃したりということはかなり難しいのですが、出来るだけ管理も徹底したいと思っていますので、登山者の皆様のご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。