北アルプス 朝日小屋

朝日小屋 TEL 080-2962-4639(衛星電話)
北又小屋 TEL 0765-84-8809
開設期間外 朝日小屋連絡所
 〒939-0711 富山県下新川郡朝日町笹川 清水ゆかり
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消防防災ヘリとの合同訓練

2009-07-06

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机上講習会の様子   09.7.5 富山県消防防災航空隊敷地内にて

 昨日5日は、富山県消防防災航空隊と朝日岳方面山岳遭難対策協議会・山岳救助隊との合同訓練が実施されました。

 富山空港内にある航空隊施設内においての訓練でした。

 この訓練は、夏山シーズンを迎えるにあたり、遭難時の迅速な人命救助及び遭難者の搬送技術の向上などを目的に行われました。

 これまでは、富山県警ヘリコプターとの合同訓練が殆どだったのですが、この数年、山岳遭難の現場に消防防災ヘリコプターと防災航空隊が派遣されるケースも多くなってきましたので、相互の連携も大いに必要とのことで、今回の訓練となりました。

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訓練の設備は、実際のヘリ機内を模したものとなっている

 あいにく、富山県消防防災ヘリ「とやま」は点検のため機体は不在でしたが、机上講習会及び訓練施設内で「ホイスト」を使った想定訓練などを行いました。

 途中で、緊急事案が入り(防災ヘリと航空隊への出動要請)訓練は終了しましたが、今後とも、県警山岳警備隊・県警ヘリ「つるぎ」との連携だけでなく、富山県消防防災航空隊・消防防災へり「とやま」とも強く連携し、山岳遭難救助の現場に向かいたいと思います。

訓練を重ねて

2009-07-06

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要救助者2名という設定 軽症者役は、朝日岳方面遭対協のT隊員   09.7.5

 富山県消防防災航空隊は、県内の市町村消防本部から派遣された8名で組織され、その他に操縦整備等は民間に運航を委託しているそうです。

 隊員の皆さんは、見るからに屈強な男性ばかり。
 その機敏な動作と模擬救助の様子からは、日ごろの厳しい訓練と鍛錬が伺われます。

 今回消防防災ヘリ「とやま」も機体の点検に入っていましたが、富山県警ヘリ「つるぎ」も運航時間などによる定期点検が欠かせません。

 その為もあり、特にこの3年間では、山岳遭難の現場に消防防災ヘリと航空隊隊員が投入されることが珍しくありません。

 実際に昨シーズンの朝日岳方面での遭難事例でも、4件のうち3件には消防防災ヘリが出動しています。

 昨年からは、航空隊の中にも「救急救命士」1名が配置され、遭難現場でいち早く医療行為に近い処置が出来るということで、早期の治療開始や対応に当たることが可能になったということです。

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要救助者を、資器材を用いてホイストで吊り上げる訓練   09.7.5

 消防防災航空隊では、今後も県警山岳警備隊や各方面遭対協、山岳関係者及び山小屋関係者との連携を円滑に行うことにより、自体の切迫した重症患者等を短時間に搬送し、早期社会復帰が可能になると話しておられます。

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ヘリコプターより現場への降下訓練  右・航空隊員と左・山岳警備隊丸山分隊長  09.7.5

 シーズン中の山岳遭難事故は、もちろん皆無になるのが望ましいのですが、もしもの場合には、私たち遭対協隊員や山小屋関係者は現場に臨む者として、更なる訓練を重ねていくことが必要だと痛感した一日でした。

 

蓮華温泉方面の情報

2009-07-06

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富山県警へり「つるぎ」  昨日の訓練で立ち寄る  09.7.5

 蓮華温泉方面の、今日現在の様子について、情報提供です。

 ただし、手元に現場写真がありませんので、文章だけのお知らせになりますが、あしからず。

 先週7月3日(金)、朝日小屋からアルバイトの“APコンビ”が、白高地沢まで登山道の点検と整備に行って来ました。

 それによると、例年に比べて残雪はやや少なめではあるものの、未だ登山道(夏道)が何箇所も雪に覆われており、ここしばらくは「ピッケル」と「アイゼン」の携行をお願いします。

 特に1箇所、場所は“八兵衛平”から“五輪の森”の間で、雪の斜面がかなり急になっている箇所があるということです。

 高さは10m足らず程だそうですが、斜面をそのまま上り下りしようとするとかなり傾斜がきついので、一応階段状にカッティングもしてきたそうですが、高巻きをするほうが安全ということで、そのようにベンガラでマーキングをして来てあるそうです。

 特に危険箇所はその場所だけですが、あとは、吹き上げのコルから八兵衛平に向けての斜面が夏道通りだと急なので、そこも例年通り高巻きにベンガラが撒いてあります。

 その他は、白高地沢の橋も架かっていますし、倒木などの処理も終わって来たそうです。

 昨日は、その蓮華温泉からテント泊の登山者が1名入山し、今日蓮華温泉へ向けて下山されましたが、その登山者からの情報も同じでした。

 先週末からは蓮華温泉への一般車両の乗り入れが可能になりましたし、また今週末からは糸魚川バスの運行も始まります。

 シーズン初めの静かな時期に、咲き始めたばかりの花を愛でながら、蓮華温泉からの往復、あるいは北又と蓮華温泉を結ぶコースを歩くことも出来ます。

 ただし、未だ雪はあります。

 くれぐれも、ピッケルやアイゼンの携行も含め、慎重な計画の立案と十分な装備でお出で下さい。

 また、お出かけの際にはぜひ『ご予約』をお願いします。遭難防止にも役立ちますので、お忘れなく。

 この後、今週末の前には(天気次第ですが、8日頃予定)、再度危険箇所の点検やマーキング、安全確認に出掛けることにしています。

 詳しくは、朝日小屋にお問い合わせ下さい。

 なお、蓮華温泉から朝日小屋のコースでは、(最近の登山者の平均的様子では)登りで8時間以上、下りでも7時間前後掛かることが伺えます。

 くれぐれも『早発ち、早着き』の“山原則(鉄則)”で行動されますよう、重ねてお願いいたします。  

頭が。。。痛い。。。

2009-07-08

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恵振山5合目にて   09.7.2

 頭が。。。痛いです。。。

 梅雨だから、ある程度覚悟してはいるのですが。

 …今のところ、このままの天気予報でいくと、11日に予定しているヘリコプターの荷揚げは順延となる気配が強くなってきました。

 そうでなくても、朝日小屋で荷揚げを担当してもらっている同じヘリ会社では、北アルプス・S小屋の荷揚げが5日からストップしたままだとか。

 多分どこの山小屋さんでも、7月3連休の前に、そこから始まる夏山シーズン最盛期に向けての大量の物資の空輸が予定されていることと思います。

 特に、朝日小屋のようなあまり大きくない山小屋にとっては、この7月上中旬に予定されているヘリコプターでの物資輸送が、シーズン中の殆どの荷物を運ぶ大事な大事な荷揚げになります。

 冷凍された、大量の食品(…昆布〆の刺身も)。
 100kgを軽く超える、肉類。
 何十箱もある、野菜類。
 朝食用の、卵。
 

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露に濡れたオオサクラソウも、素敵なのだけど   恵振山8合目にて  09.7.2

 …それもなのですが、悩みは「人の手だて」。

 ボランティアで、休日を返上して荷造りを手伝って下さる皆さんのこと。申し訳なくて。
 また、食品会社や肉屋さんや八百屋さんなどにも、ああでもないこうでもないと、いろいろとご迷惑をお掛けすることに。

 8~10トンもの、荷物です。
 手伝って下さる皆さんが居てこそ、荷造りが出来るというもの。

 でも、何だかんだ言っても、とにかく「お天気」には勝てませんから。
 曇りは曇りでも、ここ数日の曇り空は半端ではありませんから。
 どんよりとした雲が、厚く低く垂れ込めているのですから。

 出来る限りの準備をして、とにかく『青空』を待ちたいです。

 この8年間、ゆかりの「執念」「情念」「怨念」…等などと言われて(苦笑・微笑)、「雲をも晴らす」勢いでヘリコプターを飛ばしてもらっていましたが、そろそろ限界だったかしら(!?)

 いえいえ。でも、とにかく頑張ります、ね…(!?)

   

ヘリ荷揚げ…1日目(7月11日・夕方)

2009-07-13

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ヘリから見た、朝日小屋  奥には雪倉岳   09.7.11

 11日夕方、予定されていた荷物の半分が荷揚げされ、また人送の便で私他関係者数名が上山しました。

 11日は、当初から朝日小屋の荷揚げ予定日だったのですが、同じヘリ会社を使っている岐阜県のS小屋さんの荷揚げが11日間も待たされているということで、当日はそちらが終わってから朝日小屋へ向かうということになりました。

 朝から、スカッとは晴れない少し気になるお天気。。。
 小屋に電話を入れても、ガスって前朝日すら見えないという話。。。
 S小屋さんの仕事も、ガスの晴れ間をみて、飛んだり飛べなかったりという連絡。。。

 私が荷揚げに決めた日だったけれど、9年目にしてとうとう「情念」「執念」「怨念」どれも力尽きたか…

 朝8時半に連絡所に集合してくれたボランティアの皆さんとも相談して、とにかく荷造りを始めて様子を見ようということになりました。

 ところがその後も、少しずつ変化はあるものの、決定的にお天気が回復する兆しはなく、どうなることかと本当に気を揉みました。

 今日中に朝日小屋の荷揚げが出来るかどうかの最終判断を下す「タイムリミット」は、午後1時。

 「もう、ダメだろう」「冷凍食品と卵や生鮮野菜を、どこへ保管するか」…そんな決断を迫られようとしていた矢先の午後1時すぎ…

 「清水さん、岐阜のお天気が一気に良くなってきて、順調に荷揚げが進んでいるそうです。うまくいけば、夕方冷凍食品だけでも荷揚げできるかもしれません!!」と、ヘリ会社の営業マンO君から電話がありました。

 そうなってからが、またドタバタ!!
 肉屋さんへ走る人、北又へ向かう人。

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ヘリが飛び立って見る、北又へリポート   09.7.11 

 そんなこんなの大変な一日でしたが、夕方4時からの約1時間の作業で、予定量の半分の荷物が無事に小屋に運び込まれました。

 最後の最後で、これはいったいどんな「力」だったのでしょうね!?

ヘリ荷揚げ…2日目(7月12日・朝)

2009-07-13

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新川平野を見ながら、ヘリは飛ぶ  09.7.12

 とりあえずというか、とにかくというか、冷凍食品や生鮮食料品を揚げてもらってかなりホッとした前日。

 しかし山小屋の物資としては、まだまだ重要なモノが3トン程残ったままの北又へリポート。

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今回の機体は、204B 750~800キロ吊り  09.7.12

 そして12日。曇り空ながら、新川平野(富山県東部)がくっきり見える朝となりました。

 当初朝8時から予定されていた作業は、雨が降り出しそうだという予報により、朝6時になってから急遽30分開始時間を繰り上げて始まるという連絡が入り、またまた慌てるという事態に。

 それでも、順調に作業は始まり、そして約1時間少しで無事に終了することが出来ました。

 10日に、燃料やビールなどの荷造り。
 11日には、“すったもんだ”を繰り返し、当日朝運ばれた冷凍食品などはモッコを作って入れたり崩して出したり。  そして12日には、残りの物資輸送の確認と、最後の片付け等など。

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下りの人送の為、朝日平に着陸したヘリ機体  09.7.12

 今回の荷揚げに関わって下さったボランティアの皆さん、本当に本当に有難うございました。

 …毎回毎回、いろんなことがある「へり荷揚げ」。今回も、ホントにいろいろありました。

 でも、無事に終わって良かった…

 こちら、小屋での片付け作業も順調に終わって、これでシーズン中の大勢のお客様をお迎えする準備が整いました!!

 今シーズンも、ぜひぜひ朝日岳と朝日小屋にお出掛け下さい!!!

「妖力」とは…

2009-07-13

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実家の母と  今秋で79歳になります photo by Masao 09.7.12

 管理人になって8年が経ち、今年で9シーズン目。

 1シーズンに2~3回あるヘリコプターの荷揚げなので、これまでに20回以上の荷揚げを行ってきました。

 自慢じゃないけど(!)、これまでの殆どが予定していた日程で実施されたか、あるいは予定日は快晴だったにも関わらずへり会社の都合で1日だけ順延になったとか、天候が悪くても延期は1日だけだったとか。

 梅雨の最中の荷揚げが多いので、ほぼ予定通りに作業が出来るということが本当に不思議なくらいです。

 そこで周りが言うのが、この不思議な力は…ゆかりの「執念」「情念」「怨念」…

 それでも説明し切れないような、今回の荷揚げ。

 Banちゃんのブログでは、この力は「ゆかりの、妖力」なんだとか!?
 「妖力」を辞書でひいても、言葉が見つかりません。

 で、「妖怪の力」ということであれば、それは『化け物の力』ということになります(爆笑・微笑・苦笑)。

 いいえ、私は山の神様の気持ちが、予定通りにヘリコプターを飛ばせてくれているのだと信じたいです。

 …亡父の想いかもしれません。

 …私の周りに居てくれる皆さんの、朝日岳と朝日小屋に対する熱い想いかもしれません。

 …もしかして、私への、少しだけご褒美かも?

 今回は、1日目の夕方~2日目の朝と、荷揚げが2日間にわたるという珍しいパターンでした。

 1シーズンに一度だけ、いつもこの時期のヘリで実家の母を連れてくるのですが、1番機で上がって、最後の荷揚げが終わった後の最終便機で下ろすことになります。

 そして今回、母は朝日小屋に1泊していきました。

 昭和59年までの以前の小屋には泊まったことがあるそうですが、昭和60年建設の現在の小屋には初めてということで、とても喜んで帰っていきました。

 ちょっとだけ“親孝行の真似事”も出来た、そんな今回の荷揚げでした。

ドタドタ、バタバタ。。。そして!?

2009-07-14

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こんな“おもてなし”でお待ちしていましたけど。。。  09.7.13

 13日、2日間にわたる荷揚げの後始末も、何人もの“助っ人”の皆さんの手伝いもあり、どうにか片付く目途が付いたようなその日。

 そんな13日は、朝からの土砂降りと強風でした。

 というかその日、里ではそれ程ではなかったという情報もあったのですが、高い山の上では、ホントに「とんでもないお天気!」になっていたのです。

 台風並みの強風に、横殴りに痛いくらいの大雨。

 そんな日だったのに、実は2グループ・21名様のご予約があった朝日小屋。

 きっとキャンセルになるだろうという読みでしたが、各関係方面連絡を入れるも、それぞれ出発したとの情報。

 どうするどうする、と言いつつも、お客様が来られるというのであれば、とにかくどうしても「登山道」を再点検しに行かねばということに。

 ものすごい暴風雨の中を、水平道点検・蓮華温泉方面点検の二手に分かれて男子たちが出掛けていきました。
 (カメラが水没するくらいの天候だったので、現場証拠写真はありません)

 残った少人数のアルバイトたちも、どうしようと言いつつ、とりあえず21名様のお夕食の準備に取り掛かりました。

 お昼過ぎにも電話連絡などしましたが、とにかく朝日小屋に向かっているとのこと。
 これは、もしかしたら夕方には迎えに出なければいけない事態になるかも、とまたまた緊張感が走ります。

 そんなこんなで、お客様を迎える準備がほぼ整った午後4時過ぎ、立て続けに連絡が入りました。

 蓮華からの13名のお客様は、花園三角点から引き返して、ようやく蓮華温泉ロッジに辿り着いたと。

 白馬方面からのお客様は、雪倉岳避難小屋にて避難していると。

 あ、あ、あ。。。やっぱり。。。

 そんなこんなで小屋の者全員、ドドドっと、朝からの緊張感から解き放たれ、ホッとしたのやら疲れやらで、ふ~~っとため息の瞬間でした。